別れ ページ33
別れは一瞬だった
正直よく覚えてない、それくらいあっさりしてて
急に終わりを告げた
勝己と付き合って5年
高校のころからそういう関係だった私達は
プロとして世に出ても変わらず上手くやっていけると思っていた
爆｢潮時だろ｣
お互い仕事が忙しすぎて一緒に住んでもいない私達が会うことはほとんどなかったこの半年
久々に予定が合って、夜の間の少しだけでも会えることにどこか浮かれていた気はするけど
家の玄関を開けた瞬間に
そういう雰囲気ではないという彼の表情で分かってしまうのは、お互い長く隣に居たからだろう
勝己にそう告げられた時
嫌なのに、引き止めたいのに、
どこか受け入れてしまう自分がいた
貴｢そうだね｣
もう少し可愛げのある性格だったら、家を出ていこうとする彼の腕を引き止められていたのか
恋人だった時間もそれなりに長かったが、
友達として、仲間として、戦友として、隣にいることの方が長かった私達は恋人関係になっても、それまでと関係が大きく変わることはなかった
電気の付いていない、月明かりだけで照らされる部屋のソファでポツンと一人座り込む
別れを切り出されたときも、出ていってしまうその背中を見つめているときも、不思議と涙は出なかった
別れたいと思ったことなんて一度もないのに
いざその状況を目の前にしたとき、案外あっさりと頷き
その物わかりの良さに自嘲した
翌日の任務も朝早く、昨夜のことがまるでなかったかのように忙しい日々が続き、あっという間に一ヶ月が過ぎた
半年間も会ってなかったのだから、彼のいない一ヶ月なんて対して変わらない。
違うのは恋人か同業者かという関係性だけ
そう思っていたのに
｢ヒーロー ダイナマイト人気若手女優と熱愛発覚！！｣
久しぶりに仕事が早く終わり
翌日もようやくできた休暇で
一人缶ビールを飲みながら、携帯を見ていると
一つの記事と写真が目に入る
そこに映るのはどうみても勝己で
腕こそ組んではいないが、小柄で細身な女性が彼を見上げ隣を歩いていた
プロヒーローになってからこんなことはよくある事で
護衛の任務やらヒーロー活動の接待やらでよくデマが流れ
その度に報道陣や記者にブチ切れしているヒーローらしからぬ勝己の言動を思い出した
今回もきっとそうだろう、
そもそも、もう恋人じゃないんだから別に関係ないや
そう思っているはずなのに
久々に調子に乗ってお酒を飲んだせいか
涙が溢れて止まらなかった
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
