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それから毎日
彼の病室へ、彼が眠っている時にこっそりと忍び込み、隣に座って気持ちよさそうに眠る彼を見つめるだけの日々を過した
触れたい、触れられたいそんな気持ちをグッと堪える
爆｢ん……｣
寝返りを打った勝己くんの顔がこちらを向く
当たり前のように朝起きたらその顔を見ていたのに
今は目の前の彼がすごく遠くに感じる
貴｢勝己くん…｣
思わず小さな声で呟いていた
爆｢…A｣
まるでそれに答えるように、私の名前を呼んだ勝己くんに
動揺しつつ、でもやっぱり寝ているようで
先生に聞くと、よく口にしていた言葉は記憶がなくても
体が覚えていることがある、と言われた
その日は静かに彼の横で泣いた
それから数日した日の夜
夜勤明けにお見舞いに来てくれた切島くんと会う
2人で屋上に出てベンチに腰かけた
切｢ちゃんと寝てんのか……｣
貴｢うん、寝てるし、前よりはご飯も食べてるよ｣
勝己くんがああなってから寝付けなくなり食欲もなく、
それを心配して切島くんは何度かご飯に誘ってくれた
切｢んなんじゃ爆豪が思い出したとき
怒られんぞ｣
貴｢きっと、怒るんだろうなぁ｣
呆れた顔で怒る勝己くんの顔を浮かべて心が痛む
貴｢勝己くん……思い出してくれるかな｣
切｢A……
お前が信じてやらなくてどうすんだ！
あいつはやるときはやる男だ！ぜってぇ思い出す！｣
｢だから心配すんな｣、そう言って泣きそうな私を優しく抱きしめてくれた切島くんの声は、とても苦しそうだった
切島くんと話をして3日経った日
勝己くんのお母さんに｢勝己がAちゃんに会わせろって｣
そう言われて、一瞬期待してしまった
恐る恐る病室へ入り勝己くんの隣に座ると
お母さんは少し空けるね、と言って出ていった
思い出していたらこんな無言にはならないだろう、
そう思いながら何を言われるのか黙って待った
爆｢お前、夜ここに来て泣いてんだろ｣
貴｢っ｣
付き合っていた頃とはちがう少し刺々しい言葉遣いに胸を痛めながらも、バレていたんだという焦りで握る掌に力が篭もる
爆｢俺は記憶が一部ないらしい
だからお前のことも、誰かわからない｣
ああ、こうやってきっぱり言われるのが怖かったから
先生の言うことを押し切ってまで正面から会いに行こうとしなかったのに
突きつけられたその言葉に涙が出るのを必死にこらえる
爆｢もし俺のせいで
お前のことを悲しませてんなら…その、悪ィ
よかったらお前のこと教えてくんねぇか｣
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桜羽(プロフ) - 桜木なおさん» コメント誠にありがとうございます。2.3.4とありますのでよろしければ是非、そちらもお読みいただけると幸いです。 (2022年7月28日 22時) (
レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
桜木なお - 面白いです！！！ (2022年7月22日 21時) (レス) @page34 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜羽 | 作成日時：2022年4月17日 16時
