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観客席からは拍手が嵐のように響いており、この劇を盛り上げられた一員として嬉しくなる。
少し高揚した気分のままテーブルやら箱やらを片付けていると、運ぶのに苦労しているAが視界に入る。
「大丈夫?持とうか?」
『ううん!大丈夫だよ!』
「いややっぱ変わるわ、俺の軽いしこっち持つ?」
『じゃあそうしようかな…!』
俺の持っていた軽いものと交換して重いテーブルを持つ。
やっぱりA、華奢で女の子らしいんだよな…
なんて思っていると、練習期間のことを思い出した。
初めて衣装を来た時は可愛くて友達から写真撮られてたな…
あと俺の衣装が無くて困ってたらAが着てたっけな。
そんで"ぶかぶかだね"って言って笑ってたっけ。
その時のAの表情が鮮明に浮かび、簡単に頬が赤く染まって心臓が早くなる。
『シャークん?』
「あ…いや、なんでもない」
『そう?大丈夫ならいいけど…』
誰にでも優しく声をかけられる所は彼女の強みで、俺が好きになった所でもある。
その笑顔が俺だけに向けられればいいのに…とは思うけどそれは叶わなくて。
まあそれでAが愛されてるからいいんだけど。
「なぁ、A」
『ん?なあに?』
「俺、ちゃんと悪役になれたかな?」
『舞台の上ではすごかったよ!普段のシャークんはこんなに優しいのにね』
「そっか、ありがとな」
皆から嫌われる悪役だったけど、その一言で全部どうでもよくなるくらいに嬉しかった。
✄- - - - - - キ リ ト リ - - - - - ✄
「悪役にキスシーンを」という曲で書かせて頂きました!
とても素敵な曲ですのでぜひ聞いてください!!
逃げられない / Nk & kr→←自分以外の誰か / sh
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紫 - ガチでファンになりました!(初コメです)もう読む度に言葉では表現できないような感情がいっぱい生まれて読むのが至福のひとときですね。最高。時間かかっても応援してます! (2022年8月10日 0時) (レス) @page22 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百瀬 | 作成日時:2022年7月12日 20時