【WT】雲のように白く【短編集】 (ページ18)

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チラッと君の方を見ると単語帳を開いていて、眠そうな目をしている。

今日はテストなのかな？と思って心の中で応援する。いい点数取れますように。なんて思っていると、肩に重みがかかる。

何事かと思って視線を送ると、すやすやと眠る君の顔があった。

なんで？！と思わず声を出しそうになったし俺の顔は真っ赤になっているだろう。

いやいや、少女漫画でもこんな展開はありえないし…てか睫毛長いな！

俺の中で葛藤していても、もちろん彼女に伝わることはなくて、ただすぅすぅと心地の良い寝息が聞こえてくるだけだった。

きっと疲れてるんだろうし寝かせてあげたい気持ちも山々だが、電車はもう降りる駅の1つ前だったから起こそうと思って勇気を出して、冷静を装って声を掛ける。

｢すいません、次の駅で降りますよね？｣

『そうです…！すいません、ありがとうございます』

起こすとへにゃりと笑って目をこすっている彼女を見てより一層胸が高鳴る。

なにそのかわいい顔…太陽の光が相まって天使かと思った。

完全に起きた彼女は単語帳をカバンに仕舞い、スマホの内カメで前髪を直していた。

電車が完全に止まり、扉が開いたのを見ると、立ち上がって電車を出る。

開いた扉から出て電車を降りて右に曲がって出口に向かう。

君は東口から出るから左に曲がって進むんだよね、だからここでお互い高校に向かうわけだけど…後ろから先程の可愛らしい声で"あの…！"と聞こえる。

幻聴かもしれないと疑ったが、ここで無視するのは失礼だろう、と思って振り返ると、君がいた。

『さっきはありがとうございました…！』

｢いいえ、疲れてたみたいだったので起こすか迷ったんですけど、乗り過ごすよりかはいいかなって…｣

『助かりました、今度お礼させてください…！』

すいません、今急いでるのでまた今度！とだけ言い残し彼女は東口へと続く階段を登っていった。

心臓はうるさいくらいに早く脈打っており、顔には熱が集まっている。

まさか、いきなり恋が発展するとは思っていなかった。