知らない君 / kr ページ17
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⚠︎学パロ
⚠︎kr視点
いつも俺が乗った二駅先で乗って来て、同じ駅で降りる女の子がいる。
その子の知っていることと言えば通ってる学校くらいで、それ以外は何も知らない。
降りる駅が同じでも、制服が違うからもちろん学校も違くて。接点はこの電車くらい。
そんな君に恋をした。一目惚れなんて俺らしくないし、どうせすぐ忘れると思っていたけど、長く続いてる。
駅のホームで落ち着いて待ってて、制服も崩さないで着ている。スカートはきっちり膝まで伸びていて、ワイシャツも第1ボタンまで閉まっている。
電車の中では文庫本を開いたり、単語帳を開いてる時もある。難しいのかたまにうとうとして、目がとろんと蕩けそうな時もある。
そんな真面目な君が今日は駆け込む乗車をしてきた。走ってきたから少し息は上がってて、寝坊したのか後ろ髪がちょこっと跳ねてる。
いつもはあまり見ないように意識してたまにチラッと見るくらいだけど、今日は思わず視線が釘付けだった。
時の流れが止まったように、君がスローモーションで動いて見える。歩幅も、足音も、なびいてる髪も全部、絵画から出てきたみたいな美しさだった。
…やばい、こんなに見たら失礼だ、なんて思っても視線は動かせなくて、君が座るところまで見守ってしまった。
君がいつも座る場所にたまたま他の人が座っていて、空いてる席に座った。
その席がまさか自分の隣の席で、胸が高鳴る。手汗は止まらないし、心臓は早くなる一方で何も考えられない。
冷静を装って先程から続けていたSNS徘徊をするが、頭に一切入ってこない。
隣からは花の香りがふわりと漂ってきて脳を麻痺させる。
あ、いい香り…と思って顔の筋肉が緩むが、ハッと息を飲んで我慢する。
かわいい、いい匂いする。なんて語彙力のない感想ばかり浮かんできて、やはり筋肉が緩んでしまう。
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紫 - ガチでファンになりました!(初コメです)もう読む度に言葉では表現できないような感情がいっぱい生まれて読むのが至福のひとときですね。最高。時間かかっても応援してます! (2022年8月10日 0時) (レス) @page22 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百瀬 | 作成日時:2022年7月12日 20時