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お叱り言葉が飛んでくるかも、と思って心を構えるが、予想していた何倍も優しい言葉が降ってきた。
「怪我には気をつけろよ」
『…なにが?』
「いやなんかさ、危ないもん降ってくるかもしれないだろ」
『なにそれ〜!』
彼の不器用な優しさが心に染みて思わず笑いが零れる。そうだった、スマイルはこういう人なんだ、と再認識する。
ガバッと上半身だけ起き上がって伸びをする。
『スマイルも気をつけるんだよ?』
「Aと違って弱くないから大丈夫だろ」
そう言って彼に頬を抓られる。少しだけ上がってる口角を見て私の口角も自然と上がった。
『私たち、生まれ変わっても好きになるのかな?』
「地球無くなるし上手くはいかないだろ」
『え〜、てっきりスマイルならロマンチックなこと言ってくれると思ったのに…』
そっちの方が良いなら…とでも言いたげな目線を送られ、なにが起こるんだろうと首を傾げて待っていると、私より一回り大きくて骨ばった手で私の両手を包まれる。
「生まれ変わっても好きになるよ」
『例え私が人間じゃなくても?』
「まあその時は考えるよ」
『でも一緒に居られるなら十分かな』
少し汗ばんだ彼の手を優しく握り返してそう言うと、目を見開いて驚いていた。
私は自然体のスマイルが好きで、きっと地球が無くなったってそれは変わらない。
天国…いや地獄かも。そっちで出会えたらまた好きになるだろうし、結ばれなくても近くにいたい。
『私、生まれ変わってもスマイルのこと好きになると思う』
「根拠無さすぎ」
『感情ってそういう物でしょ!』
2人で笑いながら見る最後の夕焼けは綺麗で、美しかった。
鮮やかなオレンジが私たちを終わりへと導いている。
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紫 - ガチでファンになりました!(初コメです)もう読む度に言葉では表現できないような感情がいっぱい生まれて読むのが至福のひとときですね。最高。時間かかっても応援してます! (2022年8月10日 0時) (レス) @page22 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百瀬 | 作成日時:2022年7月12日 20時