【WT】雲のように白く【短編集】 (ページ15)

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最後まで / sm ページ15

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⚠︎地球滅亡のお話

やけに静かな階段を登って屋上に着くと、やけに綺麗な夕焼けが見える。

綺麗な夕日は儚くて、寂しさを感じられる。

空には一筋の矢がだんだんと大きくなっていて、あと数時間もあればぶつかって地球は無くなるだろう。

ここの屋上から見慣れた景色を見てようやく実感している。

｢ここにいたのか｣

『スマイル…？』

物思いにふけていると背後から愛しい彼の声がして、振り返ってみると、綺麗な夕日の光が彼を纏っていた。

『ここから見る景色きれいなんだよ』

｢ほんとだ、夕日も相まって綺麗に見える｣

屋上の手すりを掴んで彼はそう言い、なんだか誇らしい気持ちになった。

雪が積もった時はもっと綺麗なんだよ、夜は星空が綺麗に見えるんだよ、今度見ようね！…と思っても数時間後に地球は消えて、叶わなくなってしまう。

『私と一緒に居ていいの？』

｢まあ、家族とは散々一緒に過ごしてきたし｣

『なんかスマイルらしいや』

夕日を見る彼の横顔を見てより一層愛しくなって今までの思い出が走馬灯のように駆け巡る。

初めて会った日、付き合った日、今までのデートや喧嘩など、全てが鮮明に思い出せる。

人間とは非常に愚かなもので、もうその過去には戻ることはできないのに戻ろうとする。

『なんだか寂しくなっちゃうね』

｢そうか？別に死んだって変わんねぇよ｣

輪廻転生だとか難しい話を続けているが、さっぱり分からず、汚いと言われるかもしれないがその場で寝っ転がった。

ペラペラと話していたスマイルはそれに気が付き、隣に腰を下ろした。