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プリントから目線を上げると、少しだけ口角を上げたスマイルくんの顔が近くて頬に熱が集まるのが自分でもわかる。
細められた目からはスマイルくんの綺麗なアメジスト色の瞳が覗いていた。
『他に分かんないとことかある?』
「ないよ、ありがとう」
『全然…!』
本当にありがとう、と返されて彼は私の机に置いていた国語のプリントを手に取り、前を向いた。
ちゃんと話したのはこれが始めてで、心臓が痛いくらいに早く脈打っている。
そして顔にも熱が集まっているのがわかる。
その後友達から顔が赤すぎると笑われたけど、暑いからだよと適当に言い訳をした。
嘘だ〜!と言われても気にせず談笑していると、担任の先生が少しダルそうに教室に入ってきて、朝のSHRが始まった。
そして時間は止まることを知らず、刻一刻と流れていき、あっという間に1時間目が始まっていた。
もちろん私は朝のスマイルくんのせいで授業に集中できておらず、ノートの隅っこには落書きの跡が残っている。
小さいため息を零して、視線を上げてスマイルくんの背中を見つめる。
少し大きくて高くて、脇の方からはチラッとスマイルくんのノートが見える。板書はしっかりと写されており、先生が言った事も端の方にメモされている。
見ただけでかなり見やすく、スマイルくんの性格がなんとなく出ているノートを見てすこし口角があがる。
そのノートに気を取られていると、肘がズレてしまい、横にあった消しゴムを机から落とした。
1度席をたち消すゴムの前に立ってしゃがむと、上から白くて綺麗な手が伸びてきて重なる。
「わりぃ…」
『私もごめんね、でもありがとう』
そう返して自分の席に再び座って落ち着く。
手がぶつかった時、またもやスマイルくんの心の声が聞こえた。
それだけなら今までにあったことだし良かったんだけれど、スマイルくんの声で"好き"と聞こえた。
授業中なのであまり変なことはできないけど自分なりに精一杯手の甲を抓って冷静になる。
あのタイミングで言われてしまったら勘違いしてしまう。
スマイルくんの思ってる好きも、私と同じ好きだといいな…と思いながら彼にの背中に視線を向けると、赤い耳が視界に入る。
だめだよスマイルくん、勘違いしちゃう。
✄- - - - - - キ リ ト リ - - - - - ✄
クールに見えて実はデレそうなsmさん
2作目に入りました!こちらも何卒よろしくお願いします!!
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紫 - ガチでファンになりました!(初コメです)もう読む度に言葉では表現できないような感情がいっぱい生まれて読むのが至福のひとときですね。最高。時間かかっても応援してます! (2022年8月10日 0時) (レス) @page22 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百瀬 | 作成日時:2022年7月12日 20時