21話 ページ23
部屋が静まり返る。
さっきまで聞こえていた鳥の声がピタリとやんだ。
俺はどう返していいか分からなくてしばらく口をパクパクとさせていた。
ジャミルは俺の目を真っ直ぐとみて俺が話し出すのを待っているようだった。
ユニークスキルを使えば一瞬なのに、こういうところが本当に優しい。
正直に分からないと伝えよう。
｢それは──────｣
｢あー、Aちゃんこんな所にいたぁ。｣
扉の近くで聞きなれた声が俺を制した。
｢……扉の鍵は閉めて念には念と閉鎖魔法もかけていたんだが。｣
｢フロイド……｣
フロイドは俺の声に反応し、俺を見るなり笑みを浮かべた。ジャミルの制す声も無視し、俺の方へズカズカと歩いてくる。
いつもなら手を広げて我が弟を抱きしめる場面だ。だが、今日は何故か身体が恐怖で動かなかった。……俺はなんで怯えてるんだ？
｢帰りが遅くて心配してたんだよぉ。
俺探すのちょー疲れたぁ。ジェイドも心配してるし……ね、だから早く帰ろぉ。｣
フロイドは俺の返事も聞かず、腕を引っ張った。俺は慌てて立ち上がり、停止した思考を無理やり動かす。
｢ごめんジャミル……！色々ありがとうな。
この話はまた今度……｣
ジャミルはおう、と何かを察したのか深く詮索せず帰してくれた。
フロイドに腕を掴まれたまま、今度こそ帰路に着いた。もう雨は止んでいた。
いつもおしゃべりなフロイドはずっとだんまりで俺は更に違和感を覚える。
今まで感じたことのない、深い溝ができてる気がした。
このままじゃ駄目だ。
そう直感的に感じた俺は勇気を振り絞り口を開いた。
｢……俺、本当にお前らの兄貴なのかな。｣
フロイドの進む足がピタリと止まった。
俺の方を振り返ったフロイドの目は大きく見開かれていて、とても驚いているようだった。
俺がどうしたのか、不安げに目で訴えると
フロイドは我に返ったようで今度は怪しげに口角を上げた。
辺りは既に暗くなっており、普段より大きい月に照らされたフロイドが衝撃の一言を放った。
｢俺ぇ、一度でもAチャンのこと“お兄ちゃん”って呼んだこと、ある？｣
────どこかで鴉が不気味に鳴いていた。
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らずぴす(サブ垢)(プロフ) - マカロンさん» 長い間すみません！少しあと一ヶ月経ったら更新しまくるのでよろしくお願いします！！ (2021年2月4日 7時) (
レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - 久しぶりに見たら更新されてました！あ〜!!!続きが気になります！！ (2021年2月4日 0時) (レス) id: 2dc6582dc3 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - ラムさん» 長らくお待たせしてしまってすいません……！ (2020年12月2日 19時) (レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年11月28日 21時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - mioさん» 返信遅くなってすみません！コメントありがとうございます！！ (2020年11月13日 15時) (レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずぴす x他1人 | 作成日時：2020年9月20日 20時
