第32話 ページ35
「俺も、錆兎にそう言われた……。大切なことを忘れていた。」
義勇はまた、顔を歪めた。
悲しそうな辛そうな顔。忘れていた方がいい事もあると俺は知っている。
俺だって、あの事を忘れていたかった。もしかしたらもう此処に居れなくなるかもしれないのに。
鬼の世界に俺の居場所はあると猗窩座は言った。
煉獄さんに会わなかったら、俺はあのまま鬼舞辻の所に戻ってたかもしれないし、
俺も自分の気持ちに素直になれなかった。
「……A、どうした?」
「……ううん、なんでもない。」
どうやら考え込んでしまったようで、我に返ると義勇が心配そうにこちらを見ていたので大丈夫だと返す。義勇は小さく息を吐き、俺の目を真っ直ぐとみた。
「Aのおかげで大切なことを思い出せた。思い出したら悲しすぎて何も出来なかったから、忘れていた。ありがとう。」
「……いいや、大したことはしてないよ。忘れていたいってことってあるよね。」
俺はただ錆兎の言葉をそのまま言っただけだ。
そんな嘘つきな俺は、礼を言われる資格なんてない。
そう思っているのにありがとうの5文字がとても嬉しかった。
義勇も煉獄さんも皆嘘つきの俺にこんなに優しくしてくれる。
こんな優しい人達を俺のせいで危険な目に合わせたら絶対に駄目だろう。
俺は密かに拳に力をいれ、決意した。
俺が取るべき行動はただ1つだ。
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らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時