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第27話 ページ30

暗闇に一人、立っていた。どこまでも続く闇を不審に思い、状把握のため1回頭を整理する。
俺は確か、お館様の屋敷に行ってその後自分の屋敷に帰った。そして夕飯を食べることも無くすぐに眠りについた。



ここは夢か。



その結論にたどり着き、満足して顔を上げると俺の目の前に大きなスクリーンがあった。
やがてそのスクリーンは音を立てて起動し、ある場面が映し出された。



「これは……幼少の俺と鬼舞辻……過去の記憶か。」



“いいえ、分かりません。無惨様。”



スクリーンに映し出された俺が無機質な声で話す。これはこの前見た夢の続きか……?
俺は他にすることもないので黙ってみることにした。それにしても夢でも過去を見るとか胸くそ悪いな。



“それはだな、お前が────”



ここだ。ここで夢から覚めたんだ。その続きの言葉を俺は忘れていた。否思い出したくないから過去に蓋をしたのだ。でも、これは何故か見ないといけない気がする。完全な勘だが。
俺はスクリーンから放たれる次の言葉を待った。



その言葉に俺は目を見開く。



“お前が、特別だからだ。”



“この貧弱な僕が何故特別なのです。”



特別……俺は鬼舞辻にとって特別だった。その言葉は何故か頭にすんなりと入った。
そうだ、だんだん思いだした。
鬼舞辻はくつくつと笑い、幼少の俺の腕を乱暴に引っ張る。



“そのうち分かるだろう。これは、お前の運命なのだ。お前は黙って私の言うことを聞いとけばいい。さあ、行くぞA。鍛錬の時間だ。”



“はい、無惨様”



そこで映像はプツリと消えた。
暗闇が静寂に戻った。闇に取り残された俺は、鬼舞辻の言葉が頭の中でグルグルと回っていた。
特別、運命……その言葉が欠けたピースのように頭にハマっていく。それを酷く抵抗したが、気づいてしまったものはもう忘れられない。



「思い、出したくなかったな……。」



出来ればこのまま、忘れていたかった。過去に蓋をして、今の自分を楽しみたかった。
でも、もう無理かもしれない。その事実は深く俺を刺す剣のように痛かった。



「ごめんなさい。皆、俺はまだ嘘つきのままだ。」



これだけは絶対に言えない。煉獄さんにも言えない。
これを言えば今度こそ……
あーあ、折角皆と本音で話せると思ったのにな。



俺はまだ、仮面を被った道化師を演じなくてはならないようだ。

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らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時

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