第14話 ページ16
それから刀の手入れをして、暇だったので担当区域内を散歩し鬼っぽい人に目星をつけて夜に備える。ったく、面倒くさいなあ。
やがて陽は沈み、辺りは闇に包まれた。月が分厚い雲に包まれ、さらに闇が増す。今日は結構な数の鬼が出てくる気がする。
そんなことを思いながら見回っていると、早速鬼らしき気配がしたので溜息をつきながらも全力疾走で向かった。
やがて一件の家の前で俺は足を止め、遠慮なく扉を開けた。そこには赤、赤、赤。まだ殺されたばかりなのか、鮮やかな赤だった。人を喰うのに夢中だった鬼はやがてこちらを向き、面倒くさそうな表情をする。鬼になって数年の人の記憶を持たない鬼だった。
……面倒臭いのは俺の方だよ。
でも俺には関係ないし、どうでもいい。柱である以上どんな厄介事も斬らなきゃいけない。
自分の感情が闇にゆっくりと吸い込まれていくのがわかった。こうなるともう何も感じない。
「あ?てめぇ柱だな。面倒くせぇのが来たぜ。早く逃げないとなのによォ。血鬼術・毒牙の針」
鬼は余程自信があるのか余裕の表情で血鬼術を俺に繰り出してきた。
俺は全て剣の柄で弾き返し、一気に間合いに入ると驚いたようで鬼は反射的に自分の首を守る体勢に入った。
「闇の呼吸、弐の型……東雲の暁闇」
この技は月が見えぬまま夜が明けるように、静かに音もなく鬼を斬る技。
また、この技は闇が深いほど殺傷能力があがる。
月が出ていない日にぴったりだ。
739人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時