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33話 ページ34

織田作は俺の顔を見て微笑んだ。織田作の言葉は今の俺を救うには充分すぎる言葉だった。



「……織田作、君に出会えてよかった。心からそう思った。俺の事を、気にかけてくれてありがとう……」



俺は焦りの混じった声で言葉を紡ぐ。織田作の目は真っ直ぐ俺を見ていた。



「織田作はきっと、良い小説家になれるよ……。だって、俺の祖父、夏目漱石が認めた男だ。なれるに決まっている。」




三年前、織田作が話してくれた小説の内容は漱石じいちゃんが書いたと言っていた小説と全く同じだった。織田作は少し目を見開き、嬉しそうに そうか。と微笑んだ。



織田作は俺と太宰に目を向け、そのまま視線を天井に変えた。



「«人は自分を救済する為に生きている。死ぬ間際にそれがわかるだろう。»か……その通り……だったな。」



織田作の表情から急に血の気が急激に失われつつあった。蒼白な顔で俺と太宰に微笑む。
その台詞は、漱石じいちゃんが下巻は最悪だ。と教えてくれた時に言っていた台詞だった。



織田作は震える指で煙草をゆるゆると取り出し、火をつけようとするがとうとう指の力が入らなくなったようだった。太宰は燐寸を受け取り、煙草に火をつけてやった。



織田作は目を瞑って火のついた煙草を吸い込み、満足そうに微笑んだ。
煙草が床に落ちた。



太宰は織田作の隣で膝をついたまま、上を向き固く目を閉じてきつく閉じた唇が震えていた。
俺はただ、その場に立ち尽くすだけだった。



煙草の煙が真っ直ぐ上に伸びていっている。辺りは驚くほど静かだった。



誰も何も言わなかった。

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らずぴす(プロフ) - *ふわ*さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!!更新頑張ります! (2019年5月1日 15時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
*ふわ* - 初コメ失礼致します!主人公くんの性格その他もろもろ込みでこの作品のファンです!!更新頑張ってください!応援してます!! (2019年4月30日 20時) (レス) id: 18cb4fa1f4 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです! (2019年4月28日 21時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好きです((設定とか主人公の立ち位置が好みです!もう産まれてきてくれてありがとう!(?) (2019年4月28日 19時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年4月19日 19時

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