25話 ページ26
「じゃあ僕これから仕事あるから、ちょっと席外すね!二人ともごゆっくり〜」
なんでだよ。なんでそうなる。つい先刻まで太宰中心に楽しくお喋りしてたじゃない。普通に考えてこの歳の差、俺と織田作何話すんだよ。なんて頭で考えてるうちに太宰は颯爽の如く消え去って行った。
俺は溜息をつき、ジュースを一口飲む。あいつも自由人だからな、そこがいいんだけど。
「……太宰の様子はどうだ。」
いきなりの問いに若干驚きながらも俺は答える。
「特に此処に居る時と変わんないぞ。……随分友達想いなんだな。」
俺も前世にこんな友達が欲しかったぞ。と思わず言いそうになり口を閉じる。
「そうかもな。お前と俺も、もう友達だろう?」
……本当に掴み所のない男だ。太宰の話題から一気に逸れたぞ。“お前と俺も、もう友達”その言葉が全身を駆け巡るように体内に浸透する。この気持ちは慣れないな……照れる。
「そうだな。じゃあ、友好の証としてこれを贈るよ。」
俺はポケットの中を探り、織田作に渡す。俺の異能の一つを応用して作った結晶にチェーンが付けてある物だ。大した物じゃない。
「俺とお揃いだ。太宰にもあげようと思っている。受け取ってくれるか?」
恐る恐る聞いてみると織田作は嬉しそうにそれを握り
「嗚呼、受け取るに決まっている。友人からの贈り物だ。」
「それは良かった。」
心からの安堵だった。これで拒絶でもされてみろ。俺は一生立ち直れない。
織田作はその結晶を大切にポケットに仕舞ったあと、真剣な目付きで俺にこう言った。
「太宰をよろしく頼む。」
俺は頷く。もちろんさ、任せろという意味を込めて。
「また来よう。そしたらみんなで些細なことで乾杯しよう。」
「嗚呼、そうだな。」
この時のことは今でも後悔してる。
もう俺達が乾杯どころか会うことすらも出来なくなることを、俺はまだ知る術もない。
415人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らずぴす(プロフ) - *ふわ*さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!!更新頑張ります! (2019年5月1日 15時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
*ふわ* - 初コメ失礼致します!主人公くんの性格その他もろもろ込みでこの作品のファンです!!更新頑張ってください!応援してます!! (2019年4月30日 20時) (レス) id: 18cb4fa1f4 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです! (2019年4月28日 21時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好きです((設定とか主人公の立ち位置が好みです!もう産まれてきてくれてありがとう!(?) (2019年4月28日 19時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らずぴす | 作成日時:2019年4月19日 19時