56 ページ25
その背中をなんとなしに見つめていたら、私は気付いた。茂庭さん……一度も私に声を掛けてこなかっただけに留まらず、一度も私と目を会わせなかった。
「……大丈夫か？立花」
「！」
黒尾くんは心配そうにそう声を掛けてくれた。私はそれに、へらっと笑って見せた。
「……私は大丈夫ですよ。でも、やっぱり……嫌われるのは、嬉しくないなぁ」
「そうか……ダテコウの奴等は、武闘派が多いんだ。茂庭も前までは友好派だったのに、二年前から……」
友好派、つまり人間と共存出来る世界を目指す一派から、武闘派、つまり人間を嫌い中では危害を加えようともする一派になるなんて……相当、嫌な思いをしたのだろう。
……それなのに、何故武闘派の彼らは、この学校に居るのだろう。
「……黒尾、さ」
「何も聞くな」
「……え」
「お前は何も気にしないでいい。……いつか、是が非でもアイツらと話さなきゃいけなくなる日が来る。……そんな先のことより、今は武闘大会の事を、だろ？だからお前はもうM棟に帰れ、そんで風呂入ったら寝ろ、体冷やすなよ、バカも風邪は引くからな」
「……黒尾さん、色々余計ですよ、それ」
なんの事だ？とすっとぼける黒尾さんに、何だか笑えてきてしまって、私は思わず噴き出した。
「……そうですね、今は今ある毎日を生きるしかないですもんね、ちっぽけな脳ミソでグダグダ考えてらんないですね」
私はそう言うと、刀を持つ。
「それに私、明日までのレポートがあったんだった、早く戻って終わらせなきゃ……って、あっ!!」
「！どうした、立花、何か―――」
「レポート、教室に忘れた……！」
「……」
黒尾さんが一転して冷ややかな視線を送ってくる。
「そんな訳で私、校舎イッテキマス！」
「……お前、本当にバカなんだな」
「し、失敬な！私は天然と―――」
「あーハイハイ、んなこと言ってねぇで早く言ったら、天然ちゃん？七時には校舎閉まるよ、因みにいま6時39分」
「なっ、早く言ってくださいよそーいうことはっ……！」
私はさっきまでネガティブになっていたのが嘘のように全速力でその場から駆け出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エルナ/アネット/モニカだいすきです。 - (*^◯^*)尊(56ｽｷｶ? (4月14日 7時) (
レス) @page35 id: 89991bb039 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - お返事ありがとうございます！パイセンがカギになるのか、、、ありがとうございます！クロさんも意外です。更新楽しみ＆応援してます！ (2016年12月12日 20時) (レス) id: 28e11fac7c (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 刀班の班長って赤葦さんですか？怒ったら何気に怖いから。こうしんたのしみにしてますこれからも頑張ってください (2016年12月10日 18時) (レス) id: 28e11fac7c (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン(プロフ) - とっても面白いです!!今日1から読んだんですけど、すっごかったです!!あ、あかーしとか、無気力組ともっと絡んでほしいな…|ω・`)←更新頑張ってください☆ (2016年11月20日 16時) (レス) id: d59d31d546 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：*雨野夕立* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/suzune107
作成日時：2016年11月18日 21時
