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第三章 単細胞三人組
「おーい、そろそろ切り上げるぞー」
「まだ、まだ!」
私は黒尾さんを無視して刀を振るう。黒尾さんはそれを刀でいとも容易く防いでる。
入部から一週間、私は日々、刀の特訓に明け暮れていた。
神刀の扱いはそう容易くはなかった。勝手に動いてくれるのはいいが、体が追い付かない。力が足りず引きずられるなんてこともあった。運動神経は良い方だが、体を動かすことでこんなにも苦労したのは初めて。
今も、相手の武器を手放させたら勝ちというルールのこの対人戦で、五十三戦中一戦もとれていなかった。
黒尾さんには全く太刀打ち出来なかった。経験の差や体格差もあるのか、私と黒尾さんでは、動きが段違いだった。私がブンブンとひたすら振ってるのに対し、黒尾さんは、"しなやか"。
例えパワー5リラの私でも、男女の体格差がある以上力では勝てないと判断し、スピードで勝とうとしているのだが、黒尾さんはパワーだけじゃなく、スピードも引けを取らないんだ。
パワー十分、スピード十分、更に冷静な判断も出来るこの人。
―――そんな人に、どう太刀打ちしろってのよ!
「―――隙アリ」
「え?うわっ!?」
歯噛みしていると、黒尾さんの右手が刀を持つ私の右手首を掴んだ。
予想外の一手に動揺し力を緩めてしまうと、黒尾さんの左手が私の刀をひょいっと取り上げる。
「はい、俺の五十四勝。ここら辺にして、帰るぞー」
「も、もう一戦!一戦だけ!」
悔しくて懇願するが黒尾さんは首を横に振る。
「それもう三回目だろ。お前のもう一戦は一戦じゃねーの。続きはまた明日な」
「うぅ〜……はい……」
項垂れ黒尾さんから刀を受け取った。黒尾さんは感心を通り越して呆れたかのように言う。
「しかしお前、よく飽きもせずこんな特訓続けられるな。俺が一年の時なんて部員が全然いないのをいいことにずっとサボってたぞ」
「サボってこの実力とか、チートすか……まぁ今は、具体的な目標が定まってますからね」
「あぁ……武闘大会か」
5月最大の行事、武闘大会が、三週間後に迫っているのだ。
一年で最初のイベントのその大会は、なんと異能力ナシの一対一の大会だ。
純粋な武力を量るための大会。参加は自由だが、多くの生徒が出場する、一大イベント。
「目指すは決勝進出上位入賞ですからね!」
私が意気揚々と宣言すると、黒尾さんは何処か意地悪い微笑を浮かべ、口を開いた。
「お、大きく出たな?でもそう簡単には、勝ち残れないぞ、この大会は。なんたって、新入生殺しとも言われてる大会だからな」
新入生、殺し?
53 ※武闘大会の決勝進出人数を減らしました→←中書きます。
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エルナ/アネット/モニカだいすきです。 - (*^◯^*)尊(56スキカ? (4月14日 7時) (レス) @page35 id: 89991bb039 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - お返事ありがとうございます!パイセンがカギになるのか、、、ありがとうございます!クロさんも意外です。更新楽しみ&応援してます! (2016年12月12日 20時) (レス) id: 28e11fac7c (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 刀班の班長って赤葦さんですか?怒ったら何気に怖いから。こうしんたのしみにしてますこれからも頑張ってください (2016年12月10日 18時) (レス) id: 28e11fac7c (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン(プロフ) - とっても面白いです!!今日1から読んだんですけど、すっごかったです!!あ、あかーしとか、無気力組ともっと絡んでほしいな…|ω・`)←更新頑張ってください☆ (2016年11月20日 16時) (レス) id: d59d31d546 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*雨野夕立* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/suzune107
作成日時:2016年11月18日 21時