ハンカチ ページ21
止まれマークの前で止まったのを確認して、
私は時音ちゃんに近くで下ろしてもらい、
車の方へと自分の出せる全速力で走った。
文恵もミラーか何かで気が付いたのか、
車から降りてきた。
文恵「A！」
A「文恵、お願いっ！もう少しだけ、っ…待っててくれない？」
文恵「え…？」
息を整えながら文恵に懇願していると、
後ろの方から沢山の足音が聞こえてくる。
振り返れば私と同じく
全力疾走してきたであろうボロボロな達也くん達がやってきた。
その中にはユウキくんと誠くんも居て、
どうやら仲直り出来たようだ。
達也「えっ！A！？瞬間移動！？」
A「…違うよ。…っ時音ちゃんの車で、先回りしたの。」
達也くんは先刻まで話していた私が、
ましてや彼らより足の遅い私が
先に文恵に追いついているのにとても驚いたようで、
目を直ん丸とさせて此方を指差す。
私は彼らの方へ行くと、
達也くんの隣に立った。
達也「…黙って行くとかねぇだろ。」
哲也「いつ帰ってくんだ？」
文恵「大学もあっちで行きたいから、長くなるかも。」
達也「そんなにかよ！」
哲也「自分で決めたんだな？」
文恵「うん、夢だったから。」
哲也「…そっか。頑張りすぎんじゃねぇぞ。」
達也「………あのさ。」
達也くんが何か言葉を発そうとしたとき、
車のエンジン音が聞こえた。
音の主は文恵の車からだ。
きっと時間がないのだろう。
文恵「そろそろ行かなくちゃ。」
達也「…これ。返すって約束だったろ？」
文恵「達也くん…。」
達也くんは借りていたのか、
ハンカチを文恵に手渡す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「京本大我」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiona
| 作成日時：2021年7月2日 10時
