らしく生きることに映画ver. (ページ15)

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事故ページ15

慌てて麻耶くんと目を合わせて
其方へ向かうと、

風で看板が倒れかけており、
その下には結花さんが居た。

危ないと思ったときにはもう遅く、
看板が結花さんにぶつかる瞬間、

横に居た麻耶くんの気配が消えた。

「え？」

と思い、隣を見ても誰も居ない。

驚いて再び結花さんの方を見ると、
いつの間に来たのか、

達也くんと哲也くん、
聡くんに祥平さんの四人と麻耶くんが、
倒れる看板を止めていた。

達也「馬鹿！早く逃げろ！」

達也くんは呆然としている結花さんに
少し荒い口調でそう告げる。

結花さんはハッとすると、
慌てて此方へ逃げてきた。

達也「みんな行くぜ。」

哲也「嗚呼。」

祥平「馬鹿田魂…。」

聡「見せてやるか！」

達也「せーのっ！」

達也くんの掛け声とともに
彼らは慎重に看板を建て直した。

私は看板の柱の足元へと視線を移した。

本来学校行事の際に建てられる看板は、
こういったことを防ぐために、
足元に重りが置かれるはずだ。

けれど今看板の足元に重りは無い。

そもそも女子が運べるわけもない。

男子を閉じ込め、
それを教師にも気付かれないために
声を掛けることも出来ず、

このような事故が起こってしまったのだろう。

達也「おっしゃー！」

哲也「これで平気だろ。」

聡「…あれ？……あっ！！」

無事看板を元に戻すことが出来て
みんなが一安心したとき、

聡くんが一際大きい声を出し、
ある方向に目を向けた。

彼の視線の先には、
顔を隠すための被り物が全て地面に転がっていた。