嘘であれ ページ10
しのぶ side
私は、いつの間にか彼の手を握っていた。
し「あら、もうこんな時間...仕事をやらないとですね...」
''ピクッ''
え...?今、Aさんの手が___動いた!?
し「Aさん!起きてください!みなさん、待ちくたびれてますよ?」
『......た...ぁ...いぁ......しの...ぅ...』
起き...た...。やっと。
まだ起きたてで上手く喋れない感じみたい。
彼が起きた時に、掛けなければいけない言葉。
ただいま、と言ってくれたのなら、私は_____________
し「おかえりなさい。Aさん!」
『さ...こぅ...の...ぇが...ぉ...み...ぇ、た...。ょし...』
彼は多分、『最高の笑顔見れた。良し!』と、言っているのでしょう。
1ヵ月ぶりの会話なので、まだ慣れていないのでしょう。
『あ、ぇ...』
し「どうしましたか?」
『みぃ...き、ぉ...ぇあぃ...』
『か...かぅ...ない...さぁ、らぇ...てる...か、じ...し、ぁい...な、で...?』
''耳、聞こえない''
''感覚ない。触られてる感じしない。なんで?''
彼が発した言葉と、その母音を瞬時に感じとり、意味を理解した私は絶句した。
し「そ...んな...嘘...」
『なぁ...し...ぶ...おぇ...いぁ...どぅ...な、てぅの...?』
''なぁしのぶ。俺今、どうなってるの?''
『もぉ...しゃぇえなぃぉ...?』
『いぁく...なぁぃ...ぉ...?』
''もう、喋れないの?''
''痛くないの?''
し「っ...!!!検査をします。そのままじっとしててください...」
嗚呼、なんでAさんだけが、こんな目にあってしまうの...?
私から何かを奪うのは、もう懲りてよ。
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作者名:点P | 作成日時:2022年2月3日 21時