23 ページ23
姫野の提案で少し休む事になったが早川はまだ探すと言って部屋を出ていき
それを追うように荒井、俺という順で後を追った
まずはもう一度ぐるりと巡回
そして窓から部屋へ廊下へのループを繰り替えし
頭の輪でハンマーやナイフを作り叩いたり刺したりしても傷の一つつかない
荒井の顔には疲弊の色が出ており、早川に部屋で休むよう諭される
相当疲れているのだろう
いつもの覇気ある彼を垣間見ることはできない
猫背の彼が部屋に入るのを見届けるとまた歩き出す
何度目かの階段を上り、もう5回以上回った部屋をまた歩き回る
そう言えばと窓を壊そうとするがこれもまた壊れなかった
「おい、魔人」
もう一度ハンマーで叩こうとする手が止まる
振り返ると早川がこちらを見て立っていた
得物から手を離すと頭の上の輪っかへと戻っていく
「お前のその体は殺して奪ったものか?それとも亡骸を利用しただけか?」
何だ?
何で今そんな会話をする必要がある?
「今、必要?」
「マキマさんはデンジとお前を特別視してる、デンジはともかくお前は魔人だ。人間の体を利用している」
俺の口は自然とため息をついていた
またマキマか…
「…特別視の理由を知りたいの?」
「そうだ」
「何も知らない。公安に無理やり連れて来られてデビルハンターになるようにマキマに言われた…ただそれだけ」
俺は公安になんて来たくなかった
だけど来るしかなかった
俺は「あの場所」に居たかったのに
静かに暮らしていたかっただけなのに…
「そうか」
早川は表情を崩さず、踵を返すと部屋を出ていこうとする
「待って」
呼び止めると早川は足を止め振り返る
俺は話す前に早川に近づき、目を見つめた
「さっきの質問だけど…」
早川は目を細め俺を見返してくる
「この子を殺したのは俺だよ」
「………そうか…」
目の前が一瞬暗くなった
左耳から聞こえた鈍い音
勢いで壁にぶつかり、そのままずるずると床に座り込む
「お前は姫野先輩の所に戻ってろ」
頭がぐらぐらして気分が悪く
鼻を拭うと赤い液体が袖を汚した
.
.
.
数分経つと頭のぐらつきも収まり、洗面台で顔を洗った
思ったよりもひどい血は出ていなかったようで袖口以外に血はつかずに済んだ
でも、少し頬が腫れて来てる
このまま姫野の元に戻れば彼女は追及してくるだろう。
面倒見のいい人だから…
俺は頭の輪っかを少し傾けると、ひたり、ひたりと雫が腫れた頬に落ち
顎を伝い落ちていった
539人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブブ(プロフ) - ととさん» また読んで下さってありがとうございます(*^^*) ととさんもお体には落ちをつけくださいね!少し油断すると風邪を引きそうになりますから! (2022年12月10日 7時) (レス) id: 1b530ea863 (このIDを非表示/違反報告)
とと - どんどん面白くなっていきますね〜!!体調不良に気をつけて下さいね! (2022年12月9日 17時) (レス) @page29 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
ブブ(プロフ) - 佐藤さん» コメントありがとうございます!嬉しいです♡ ありがとうございます、佐藤さんもお体にはお気を付けくださいね(#^^#)お暇なときにでも読んでいただけたら嬉しいです♪ (2022年11月25日 20時) (レス) id: a83a72b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 - コメント失礼します。とても面白いです!お体に気を付けて作者様の無理のないようこれからも頑張ってください!応援しています! (2022年11月25日 9時) (レス) @page15 id: 76e6162b40 (このIDを非表示/違反報告)
とと - はい!読ませて頂きます! (2022年11月25日 1時) (レス) @page15 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ブブ | 作成日時:2022年11月14日 15時