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「俺に用なんだろ」

部屋のドアばかり見ていて廊下を歩いているのに気づかなかった。早川は明らかに不機嫌そうな顔をして俺を見下ろしている。

「マキマが呼んでた…、部屋に来るようにって」

目をあわせずに言うと、早川は何も言わずに俺が来た方へと速足で行ってしまう。俺は次の目的のために更衣室へと向かった。

今まで社会に溶け込もうなんて思ったことなかったし、今だって思ってない。マキマに捕まってしまったから仕方なく公安来て言われた通りにしているだけ。

俺は人の傷みが見れればそれでいい。擦り傷でも切り傷でもあかぎれでもひび割れでもなんでもいい。ぐちゃぐちゃならもっといい。

更衣室につくとロッカーからスペアのYシャツとネクタイ、スラックスをまとめて脇に抱えた。

傷みにあふれる公安は俺にとっては素晴らしい場所だった。
命令してくるマキマさえいなければ。

マキマの事は嫌いだ。あいつの言う事は逆らえない。目を覗かれると体が思うように動かなくなるし、冷や汗が止まらなくなる。

「持ってきた」

彼女のいる部屋へと戻ると、制服を差し出す。マキマがそれを受け取りデンジへ渡す。

「あ、あのさ、ありがとなお前の制服貸してくれて!」

「うん」

マキマに教わった笑顔を浮かべる。それ以前にデンジから溢れてくる傷みの香りで酔いそうになっている俺は今しっかりと笑顔を作れているだろうか。

「用が終わったならさっさと出て行けよ」

いつの間にか横に来ていた早川の眉間はしわが寄っている。早川は悪魔や魔人が大嫌いなんだ。ってマキマから聞いてる。でも俺は早川が好きだよ。早川だけじゃなくて傷みを抱えている人は例外なく好きだ。

「俺はAだよ。デンジ、またね」

「お、おう…!」

もうすこし余韻に浸っていたかったけど、早川の機嫌を損ねる前に退散することにした。

「A君」

マキマの呼ぶ声に振り返る。

「ありがとう、助かったよ」

彼女の笑みに背筋がひやりとした。せっかくの楽しみを台無しにされた気分だった。

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ブブ(プロフ) - ととさん» また読んで下さってありがとうございます(*^^*) ととさんもお体には落ちをつけくださいね!少し油断すると風邪を引きそうになりますから! (2022年12月10日 7時) (レス) id: 1b530ea863 (このIDを非表示/違反報告)
とと - どんどん面白くなっていきますね〜!!体調不良に気をつけて下さいね! (2022年12月9日 17時) (レス) @page29 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
ブブ(プロフ) - 佐藤さん» コメントありがとうございます!嬉しいです♡ ありがとうございます、佐藤さんもお体にはお気を付けくださいね(#^^#)お暇なときにでも読んでいただけたら嬉しいです♪ (2022年11月25日 20時) (レス) id: a83a72b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 - コメント失礼します。とても面白いです!お体に気を付けて作者様の無理のないようこれからも頑張ってください!応援しています! (2022年11月25日 9時) (レス) @page15 id: 76e6162b40 (このIDを非表示/違反報告)
とと - はい!読ませて頂きます! (2022年11月25日 1時) (レス) @page15 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブブ | 作成日時:2022年11月14日 15時

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