最後の初恋 3 (ページ8)

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その後、ソアとはホテルの部屋も同じなので、帰ってきてからは買ったものを一緒に撮ったりして、充実した時間を過ごせた。

「…いや、そういうんじゃないってば」

そんな声を耳にしたのは、夜にホテルの廊下を歩いていた時。ホテル内に付属しているコンビニが24時間営業と聞いていたので、何か買おうと思ったのだ。普段耳にするよりも波のある声色に、思わず足を止めて気配を消す。突き当たりの角＿＿確か自販機があるところだったはず＿＿で話しているようだ。

「…大学だって同じところに行ったじゃん。俺、今の状況に満足してる…から」

文面だけ見ると強気に見えるそれは、音も含めてしまうとかなり弱々しかった。語尾が弱まっていって、薄れていく。まるで、自分の言いたいことを我慢しているかのように。

誰かと電話をしているみたいだけど、相手は誰なんだろう。心の中で首を傾げる。ロロ先生がいるところを通らないとコンビニには行けないため彼が去るまで待っていようと思っていたのだけど、長くなりそうな雰囲気だ。

はあ、と彼から落ちたため息は重い。それより、ここで電話してるってことはこの階に用があったのかな。それとも、私が知らなかっただけで実は先生の部屋もこの階だったのかも。先生の声を聞きながら壁に寄りかかって考え事をする。遅くなるとソアに怒られちゃうから早く買いに行きたいんだけど、今出て行って盗み聞きしてたことがバレるのも嫌だしなぁ。

「…もう、決定事項なの？それは」

なんだか深刻そう。盗み聞きする趣味はないんだけど、相手が相手だから、好奇心の方が勝ってしまう。

「拒否したら…？」