最後の初恋 3 (ページ6)

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ソアはすでに韓国の店舗で全てのテスターを確認してきたらしく、07番が1番好みだったのだとか。しかしサイトにあるようにネットでも買えない現地購入仕様のため、モヤモヤしていたところ、「そうじゃん！修学旅行先日本じゃん！」と全て解決したらしい。

「韓国は何の匂いなの？」
「えーとね、10番だよね。木槿！」
「国花じゃん」
「そう！そこから来てるっぽいよ」

「楽しみだな〜絶対ゲットするもんね〜」とルンルンな様子のソアと共に店内に入る。綺麗な服装をした女の人が多く、いくら私服といえど子供の雰囲気が隠しきれていない私たちは明らかに場違いだ。

肩身が狭くなって来た私とは異なり、彼女は音符がつく勢いで店内を回っている。あ、本当だ。売ってる。お店の1番目立つところに置かれている香水を手にとる。片手にすっぽりと収まるくらいのサイズのそれに貼ってある薄い桃色のラベルには”If it blooms, (花咲くならば、)it’s by your side.(あなたのそばで。)”と、サイトと同じ言葉が書いてあった。

最近よく名前を聞くようになったClyde(クライド)という韓国のブランド。主にコスメがメインのブランドらしく、その界隈に詳しいソア曰く、まだ海外に店舗がないから今回のコラボはすごく注目されていたのだとか。

開発から宣伝までを一つの会社で行なっているこの会社の特徴的な部分は、モデルが完全に専属なことらしい。有名ブランドによくあるのが、有名な歌手や俳優をアンバサダーとして添えるやり方だけど、Clydeはそこを「Clyde専属モデル」という肩書きで所属しているモデルと、開発組や宣伝組を含めて完全にチームを組んでやっている。なので、モデルが開発組に意見をすることも、またその逆もあるらしい。これは全てソア情報。彼女が聞いてもないのに色々教えてくれるのだ。

その特殊的な方法もあってか、このブランドは数年で劇的な成長を遂げた。それはご覧の通り、あの有名なブランドとコラボするまでに。

Clydeのバックの人は相当優秀なんだろうな…と香水を見ながら思っていると、ソアがやって来た。どうやらお会計を済ませたみたいで「これあげる！」とニッコニコの笑顔で差し出してくる。