最後の初恋 3 (ページ47)

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「先生にフィアンセがいることは知ってるよ。きっとその人はもうフィアンセじゃなくて、ちゃんとした奥さんなのかもってことも察してる」

自分を落ち着かせるために一度カフェラテを飲んだ。高校生の時とは違ってシロップを入れなくなったのは、少しでも大人に近づきたかったから。

「でも、今日は私と一緒にいてほしいの。今日だけでいいから」

「日付が変わるまで一緒にいて。それ以上は望まない」逃さないように黒い瞳を見つめて、今の気持ちを包み隠さず告げた。先生は少し驚いているように見えた。

窓の向こうは相変わらず綺麗な青空。楽しそうに笑うカップルがその下を歩く。あの人たちのようにはなれないって分かってる。

あの時何度も諦めようとしたのに、結局あなたが目の前に現れてしまったら、この気持ちは抑えられないみたい。

だったら、最後まで燃やして尽きよう。

私が考えていることが伝わったのか、青空に視線を向けた先生は数秒考えるとこちらを見た。

「いいよ。日付が変わるまで、Aのものでいてあげる」

儚く微笑んだ先生はそう言うと指輪を外し、バッグの底に沈めた。