最後の初恋 3 (ページ45)

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ひょいっと女の子を抱っこして仲が良さそうに話している姿を眺めていると、1人の女性が寄ってきた。チョンロ、と声をかけてきた彼女はアイスを持たせた女の子を受け取って、いくつか言葉を交わすと去っていった。

途端に訪れた静寂。嵐が過ぎ去ったかのような静けさに、思わず少し離れたところに立つ彼を見つめる。

「久しぶり」

黒いジャケットを羽織い他所行きの格好をしたロロ先生は私にそう言った。言葉を返そうと口を開いた瞬間、電話がかかってくる。耳に当てたスマホから届いたのは「急遽仕事が入って行けなくなった、ごめん」というドンヒョク先生の声だった。

すぐに切れた電話。耳にスマホを当てたままポカンとしていると「じゃあね」と去ろうとするロロ先生。

「まっ、待って！！」

思わず大きな声を出してしまった。反射だった。

立ち止まった先生はこちらを振り返る。穏やかな春の風を浴びている姿は、3年前に駐車場で抱きしめてくれたそのもので。

心が焦がされるような感じがした。まさかこんなところで再会するなんて。「運命」思わず口からそんな言葉が出てしまったのは、聞かれていないといいな。

「このあと予定ある？」そう問いかけると、少しの沈黙のあと、返事が返ってきた。

「…ないよ」
「じゃあ、一緒にいてくれない？」

一度は諦めようとしたんだ。でも、こんな形で会えたんだもの。もう逃したくない。

これが最後でもいい。もう会えなくなってもいい。
だから、今日だけは一緒にいてほしい。

「いいよ」

ふわっとした微笑みとともに落ちた言葉。彼はそのまま私の手を引くと、カフェへと足を進めた。