最後の初恋 3 (ページ44)

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「かわいい！」

その声に下を向く。足元には小さな女の子。ツヤツヤした髪の毛は頭の高い位置で二つに結われていて、赤いさくらんぼがついている。

彼女は私のトートバックについているウサギの人形を指さすと元気に叫んだ。触りたいらしく手を左右に揺らしているが、背が小さいため届いていない。

しゃがんで見せてあげる。「これ？」と言うと女の子は白い肌の上で、お花のような笑顔を浮かべた。

「うさぎさん、ふわふわ」
「ウサギさん好きなの？」
「うん！あのね、パパに似てる」
「へぇ、そうなんだ」

「パパもうさぎさん、ママもうさぎさん」ママの方が白いんだよ、と小さな手で私のウサギの人形を握りしめる。こちらを見る目はくりっとしていてとても可愛らしい。

「リヨンアちょっと離れないでよ、びっくりしたじゃん」

しばらく女の子と話していた時、駆けてくる足音と共にやってきた焦りを含む声が耳に入る。視線がある姿を捉えたその瞬間、時が止まった。

目が合って相手もこちらを認識する。女の子の声が、数秒の沈黙を引き裂いた。「ロロ！見てうさぎさん！」

「あ、ウサギ…うん、でも急にいなくならないでよ。ママと約束したでしょ？」
「した！でもね、このうさぎさんパパみたいだから気になったの」

一気に女の子と彼の空気になる。しゃがんだままの私は、女の子がウサギを握り締めているせいで動けない。

彼は近づいてくると「お姉さん困ってるよ」と女の子の手に大きな手を添えた。はぁい、と可愛らしい声を出した彼女は素直に従う。

「ママは？」
「もう来るよ、リヨンの好きなイチゴアイス買ってくれてるよ」
「ほんと？！パパもたべる？」
「うーん、パパは無理かも」