最後の初恋 3 (ページ41)

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格好つけさせてページ41

「は？」

素っ頓狂な声を出した目の前の彼は、酒で頭が回っていないように見えた。でもそんなことなど有り得ないってことは、数十分前、彼が握ったグラスの数がいつもよりも明らかに少なかったという事実が告げていて。

俺は、先ほどの自身の発言が、彼にとってあまりにも衝撃的だったことを理解していた。

「…えっと、その話長くなりそうな気しかしないんだけど」疲れたように目を閉じて額に手を当てるロンジュン。数時間歩き回って、数十分並んでアイスを食べて、さらに飲み屋に行った。明日からはまた仕事の日々が待っている。

そこに放り投げる話ではないことは、俺だって分かってる。でも、さっきのAの姿を見てしまったら重ねずにはいられなかったんだ。

遠くに行ってしまった人への気持ちをずっと心にしまい続ける。そしていつか、その人の隣には自分じゃない誰かが立っていて、その人は自分に向けてほしかった目つきでその誰かを見るんだ。

喉から手が出るほど望んでいたのに。あの時この想いを口にしていれば、もしかしたらその隣には自分が立っていたのかもしれないのに。

そんな醜い後悔なんて、俺とは違って勇気のあるロンジュンは一生感じることなどないだろう。

「それに、チョンロは今ドイツにいるだろ。会わせるってどこでだよ、無理に決まってる」
「俺には来てないけど、俺よりずっと頼られてるロンジュンには来てるんだろ。チソンにも来てたくらいだし」
「…何を？」
「連絡。一時的に帰って来るって」

はあ、と彼は肩を落とした。瞬間的についた嘘がバレてしまい話が続くことになったのが面倒臭くなったのだろう。

ロンジュンは俺らの誰にも負けない行動力を持っている一方で、意外と慎重派なタイプだ。俺みたいに物事に波風を立てるのが好きな性格じゃない。だから一旦落ち着いたAの気持ちや、あの2人の関係性を蒸し返すようなことはしたくないんだと思う。

でもなぁ…。チョンロがずっと指輪を変えていない理由を、ロンジュナだって察しているはずなのに。