最後の初恋 3 (ページ40)

今日:93 hit、昨日:31 hit、合計:28,475 hit

. ページ40

「さっき一緒にアイス食ってたの彼氏？」
「違うし、友達」
「大学の？」
「ううん、高校の時からの」
「はぁ〜？Aって他校に友達いるタイプだったの？」

少し酔いが回った様子で話すドンヒョクとA。出身柄ゆえか比較的酒に強い俺は、机を挟んだ2人がぺちゃくちゃ話しているのを終始聞いているだけだった。

飲みにいこうと言い出したのは俺なのに、結局ドンヒョクが3人分払ってくれて、一緒に駅までAを送っていった。酒が入ると能天気になるタイプなのか、道中、あはは、えへへ、と笑っていたA。

無事に帰れるかな。ホームから落ちたりしないかな。なんて心配になって、電子化されたICカードが内蔵されているスマホを取り出し改札をくぐろうとした瞬間、襟元をクイッと後ろに引っ張られてしまった。

「さすがに大丈夫だろ」いつの間にか酔いが覚めたのか、ドンヒョクは落ち着いた様子でホームヘ向かうAの後ろ姿を見ながらそう言う。そして、ロンジュナは世話焼きだよな〜、と、首から離した手で俺の手を引いて駅を出た。その素早い動きに、思わずムッとしてしまう。

「なんですぐ帰んの。姿が見えなくなるまで見送らせてくれてもよかったじゃん」
「ん〜？」
「今更酔ったフリすんなよ」
「イデッ」

腕を無理やり振りほどき、背中にパンチをお見舞いする。つんのめったドンヒョクは数歩勢いに身を任せると、足を止めこちらを見た。

「それでうまく隠せてるつもりか？何年幼馴染やってると思ってんだよ」
「ロンジュナ口悪い〜、珍しく酔ってんな？」
「今はそのノリマジで面倒臭い、怒るよ」

「これ以上やるなら帰るから」さっき3人分払って所持金がほとんどないのを知っている。ここで俺が帰ったら、目の前の小麦野郎は交通機関を使って帰宅することができなくなる。

つまりそれは、野宿の確定演出だ。

俺のしょうもない脅しに見事怯えたドンヒョクは、あわわと慌てながら両手を体の前で動かした。「いや帰らないで！さすがにそれはマズイ！」

「じゃあ言いな。なんか企んでるんでしょ。1人で何しようとしてたの？」
「いや、うん…1人でっていうか…。ロンジュナには言おうと思ってたんだけど、拒否されるかなって思って、言うタイミングを探してたんだよね」

なんか、くどくどと面倒臭い。いいからと強気に言えば彼は口を開いた。

「…俺思ってるんだ。Aとチョンロを一度ちゃんと会わせるべきなんじゃないかって」