最後の初恋 3 (ページ37)

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ロンちゃんの背中を追っていたらドンヒョク先生が合流してきて、結局3人でお店のドアをくぐった。ヤンヤンは一向に来る気配がなくて、ドンヒョク先生に訊いてみると「帰るってさ」とだけ返された。

「A、飲み物なにがいい？」とメニューを見せてくるロンちゃんに「よく分かんないからオススメのやつでいいよ」と返す。すると軽くため息をつかれた。本当に分からなかっただけなのに。

「それ他の男に言うんじゃねぇぞ、特に同年代」
「俺、生で」
「はいはい。じゃあ3つでいっか」

そのまま細い腕を上げると店員さんがやって来た。ロンちゃんが色々注文している間に、残りの1人と話す。

「そういや、髪切るのやめたの？」
「わ、よく覚えてたね。やめたよ」
「なんで？吹っ切れた？」
「うーん、まあそんな感じ」

胸あたりまで伸びた髪の毛をいじる。家を追い出されたあとから、なんとなく伸ばしてみることにしたのだ。今まではお母さんの望む女性像に縛られている感じがして嫌だったことだけど、実際に一人暮らしをしてあの人から離れてみたからか、あまりそう感じることはなくなった。

このまま髪の毛も染めちゃおうかな。何色がいいと思う？と訊いてみると、しばらく私を見つめ、うーんと唸る。頭の中で私の髪色を変えているのだろうか。

「金髪とか？なんだっけ、濃い色じゃなくて色が薄いやつ」
「色が薄い金髪…？ユンハナがやってたみたいな？」
「あーそうそう。白みたいなやつね」

「先生ユンハナ知ってるんだ」「女優でしょ？今めっちゃ流行ってるよな、生徒が言ってた」「そうじゃん歩くミーハーがいるとこで働いてるんだったね」「いや言い方。ていうかそもそもミーハーは歩くもんでしょ」ベラベラと喋っている間に注文は終わっていたようで、ロンちゃんが会話に入るタイミングを探していたところだった。内容が理解できていなさそうに私とドンヒョク先生を交互に見る彼に話を振る。

「ロンちゃんユンハナ知らないの？」
「『先生』な」
「いいじゃん私もう卒業したんだから。このやりとり何回やる気？」
「…こいつ態度がデカくなった」
「いいじゃんロンジュナ。大学生はこんなもんで丁度いいんだよ」

そう言うと、ドンヒョク先生は楽しそうに笑う。まあそうか、なんてロンちゃんも顔が緩んでいる。卒業して2年経った今でも変わらない2人の笑顔になんだかホッとした。