最後の初恋 3 (ページ36)

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机の上には文房具じゃなくてお酒をページ36

「…どうしても？」
「うん」

心の中でため息をつく。よりによってあの人の友達が真横にいる時にこの話が舞い戻ってくるとは…。ちょっと待って、と一旦ヤンヤンにストップをかけて残りのアイスを食べ切る。良い気分のままでアイスを食べておきたかったのだ。

「いいよ、私が話せることなんてないけど」
「あるでしょ〜、てかさ、知り合いならもちろんチョンロさんの知り合いとも知り合いなわけじゃん」
「待ってめっちゃややこしい」

なんとなく言いたいことはわかるけど…。つまり、私があの人と知り合いということは、あの人のお友達とも知り合いな可能性があるってことだよね？うん、それってつまり隣の2人のことになるけどさ。

自分の頭を両手で押さえて脳内を整理しきる。ヤンヤンは「一回でいいから会ってみたいんだよ。楽器の無料交換権用意すれば会ってくれるかな？」とか言ってる。そんなのあるの？私が欲しいくらいなんだけど。いや、それよりも。

「…あの人は、楽器には興味ないよ」

思わず漏れていた声。あっと気がついた時には、時すでに遅し。ヤンヤンがすごく興味深そうに私を見ていた。

「えっ、何それどういうこと聞かせて」
「あ！そうだ思い出した、お兄さんちょっといい？」

外行きの笑顔で柔らかく微笑んだロンちゃんが会話に割り込んできたかと思いきや「Aのこと借りるね」と、私を無理やり立たせる。

ヤンヤンは先ほどの光景から私たちが知り合いだと把握していたらしく、特に焦ることなく、別に全然いいですよ、とか言ってる。止めてくれてもいいんだよ！全然！

結局そのまま店の外まで連行されることとなった。すっかり暗くなり始めてきた空を見ながら憂鬱な気分でいると、ぺちりと頭が軽く叩かれる。

「…なんで相変わらず叩くの」
「飲みにいこ」
「え、いくらなんでもさ…過去だけど一応生徒だったんだよ私」
「俺がお前のこと狙うとでも？」
「すっごい嫌な言い方」

もっと他にいい否定の仕方絶対あったでしょ。「ドンヒョクはアイス全部食べてから来るって」スマホを見ながら歩くロンちゃん。あの店であの2人が残されるとか、どんな雰囲気になってるのか凄く気になる。

Aもう成人したでしょ。オススメのところあるから。

勝手に話と足を進めるから、とりあえず全てについていくことに精一杯。本当に私と飲みたいのかな。なんか電話し始めたし。私放っておかれてない？