最後の初恋 3 (ページ34)

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アイスと2人の先生ページ34

それからどれくらいの月日が経ったのだろう。私は大学生になっていた。

結局、私は奨学金を使って音楽系の大学に通っている。予想はしていたことだけど、進路の関係でお母さんと真っ向からぶつかったのだ。普段感情を表に出すことなど滅多にないあの人が、金額の不明な花瓶やら何やらを私に投げつけ、大きな声でみっともなく叫んでいた。

この裏切り者。ここまで育ててやったのに。恩知らず。罵声と共に飛び散る破片から使用人が守ってくれたから私は怪我しなかったけれど、彼の腕や顔には傷がついてしまっていた。

結局そのまま家を追い出される形になったから一人暮らしをしている。「お金はいくらでもあげるから出て行け」「戻ってくるな」と言われてしまったら、もう出て行くしかないだろう。大学生活が始まって2年経った今でも仕送りが続いていることから、お母さんの意思はもう変わらないみたい。

「で、一人暮らしはどう？」

講義のあと待ち合わせをしていたアイスクリーム屋さんで、クルクルに巻かれてカップに入れられたクッキーアンドクリーム味のアイスを食べる。向かいに座っているヤンヤンの手元にあるのは、濃厚ストロベリーっていう味だった気がする。

「快適。口出してくる人いないし」
「最高じゃん」
「うん。友達を夜中に呼んでも怒られたりしないしね」
「友達呼んでるの？」
「うん、ヤンヤンも今度おいでよ」

「意外と広いんだよ」大学の友達を数人呼んだけど、ここら辺にしてはそこそこ広い、と言われた。私を見て数秒考えたヤンヤンは「そのうち行こうかな」とアイスを食べる。

彼とはお見合いで出会ったわけだけど、結構気が合うので、友達という形で今でも付き合いを続けている。家を追い出された話をしたら「ドラマみたい、本当にそんなことあるんだ」と大きく口を開けて笑った時は、あまりの笑いっぷりにこっちがびっくりしてしまった。

「ねえねえ、それよりさ」
「うん」
「チョンロさんと連絡取れないの？」
「…取れないよ。私に会うたびに訊いてくるけど、なんで？」
「だって、会ってみたいじゃん。権威みたいなものだよ？」

「A知り合いなんでしょ」何も考えてなさそうにアイスを頬張るほっぺをつつく。なんだよ、と不服そうな顔を向けられた。

「遠くに行っちゃったんだってさ」
「遠く〜？」
「そ、遠く。もう会えないよ」
「…死んだの？」
「そういう意味じゃないってば」