最後の初恋 3 (ページ27)

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チョンロはお母さんの望みも叶えながら、自分のやりたいことも続けようとしているみたいだった。大学を卒業してすぐに楽団に入ったら、自分の人生の100%がピアノになってしまうから。

だから、教師という形で韓国に帰ってくることでピアノを続けつつも、バスケに割く時間を確保するという選択をした。

チョンロと仲のいい職場のヒョンたち曰く、クラスも部活も持たず時間になったら迷うことなく定時退勤をする姿は、他の先輩先生達からは良いように思われていないみたい。でも、チョンロは気にしていないみたいだった。

家に帰ってバスケに触れられるのが楽しいから。それがほんの少しの時間だとしても、好きなことができるなら、周りの人の目など気にするまでもないと。

そう話す彼の瞳の霞みは少し晴れ始めているように見えた。

良かった、これで、みんなの妥協点に辿り着いたのかもしれない。みんなが納得できる終わりになったのかも。

だけど、その時間も長くは続かなかった。

親の望むようピアノの道に進んだはずなのに、お母さんは納得してくれなかったらしい。高校生の時までお世話になっていたピアノの先生に色々根回しをして得た入団の枠を提案してきた。ドイツにある有名な楽団らしく、そもそも声がかかってくること自体異例なのだとか。

しかも勝手に話を進めていて、チョンロの元にその話が来た時には、すでに決定事項も同然だったらしい。