最後の初恋 3 (ページ26)

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有名な大学からバスケの推薦が来ていること。お母さんから音楽の道に進むように言われていること。自分はバスケの道を選びたいけれど、お母さんは絶対に許してくれないこと。

お母さんにとってバスケとはただの球遊びに過ぎなくて、それに白熱してる自分の姿が好ましくない。

バスケを選んだ場合は韓国の大学になるけど、ピアノを選んだ場合は海外の大学に行くことになる。それはかつて住んでいた中国ではなく、よりその界隈が盛んなヨーロッパの方らしい。

「お母さんはピアノの道を諦めたんだって。だから、俺にその夢を叶えてほしいみたい」そう言うチョンロの瞳は霞んでいた。

それを話してくれた後、俺はなんて返したんだっけ。

約束はもちろん守るつもりだったしマイナスなことを言っていないのは確かだけど、迷っている彼になんて声をかけたのか覚えていない。

結局、卒業するまでチョンロに前の明るさが戻ってくることはなく、ずっと空元気な感じだった。そして、彼はお母さんの望むように海外の大学に行った。連絡先は交換していたけど、実際に顔を合わせたのは卒業して3年後。彼が一時的に韓国に帰ってきた時だった。

久しぶり。招かれた彼の家でそう声をかけてきたチョンロの姿は、少し大人びて見えた。落ち着いていたからか、哀愁があるように見えたからか。理由はわからないけど、大学に進学していた俺からしたら、社会人みたいに一つ上を進む人みたいに見えた。その時には彼は背がすごく伸びていて、背は180cmを越えていた。

そこには、あの教室で声をかけてきた彼はいなかった。

このままだとその大学と連携している楽団に入団することになりそうだけど、チョンロとしては韓国で仕事に就きたいようだった。お母さんの言うことを聞いて大学に行ったし、あの時とは違い成人もしているから、理解を示してくれるだろうと。

今のチョンロの強みとしては音楽だから、それを活かしてここで働けるとなると…。
考えて一つの案が浮かぶ。もう就活を終え最後の休暇に入っている限界アルバイターのドンヒョギヒョンの姿が浮かんだ。

「チョンロ、教師って興味ある？」