最後の初恋 3 (ページ20)

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反射的に足を止めて振り返る。見覚えのある庭にいたのは、見覚えのある人。でもどこで会ったのか記憶になくて、思わず首を傾げる。見たことはあるんだけど覚えてない。どこで会ったっけ？

その若い男の人は、おばあちゃんが小さいベビーカーみたいなやつを押して歩いているみたいな感じで、手動の芝刈り機をゴロゴロ押しながら門の近くまで近づいてきた。そして「懐かしい制服だなぁ」と呟いている。

「…あ、すみません、間違えて来ちゃって」
「そうなんですか？あ、もしかして、チョンロの…」

ロロ先生！？

突然出て来た名前。もしかしてロロ先生の知り合い！？見覚えがあるというのも、もしかしたらそのせいなのかも。ロロ先生の家には沢山写真があったから、その中に写っていたとか。

その名前に私が目を見開いたのを、そのお兄さんはしっかり見ていたようだった。「やっぱり！」と嬉しそうな顔をすると、門を開けて私を中へ誘う。

「えっ、いや」
「チョンロの知り合いなら大歓迎ですよ」
「いや、知り合いとかそんな大層なものじゃなくて」
「でも、その制服を着ててここを知ってるっていうことは、チョンロがそれを許したってことでしょ？」

「詳しいことは中で話しますから」と、にっこり微笑まれる。その笑みには怪しい雰囲気などは含まれていないように見える。それに、ロロ先生が海外に行ってしまったというのに、この家に人がいるというのも気になった。

他にも今知らないことを色々聞けるかもしれない。それであの人を諦める材料が手に入るなら。この苦しみから解放されるなら。

害を及ぼす甘い誘いだとしても真実を知れるなら本望。覚悟を決める。グッと拳を握って門をくぐった。