最後の初恋 3 (ページ19)

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覚悟は決めたでしょうページ19

恋している相手が遠くに行ってしまって、もう会えないかもしれない。いや、会えないという確率が明らかに高い。加えて、相手は私の好意に気がついていない。

その状況下なら、諦めることが得策と言えるのだろう。

でも、そんな簡単に乗り越えることなどできるはずもなく。消し去ろうとしても胸のどこかで、この感情が、あの人の存在が、引っかかったままでいる。

そんな生活が数ヶ月続いて、すぐ目の前には夏がやってきた。終業式の帰り道、制服姿でぼんやりと歩きながらあの人について考えてしまったのは、きっと期末テストが終わって肩の力が抜けていたから。

結局、私はあの人がどこに行ったのか知らないままだ。

あの人と仲のいい先生ならもちろん知っていると思うんだけど、訊く気になれなかった。あのドンヒョク先生が帰国について何も言及しなかったのだから、そこら辺の話題については、口止めされてるとか、そういうなにかしらの理由で答えてくれない可能性が高いと思ったのだ。

“Aには幸せになってほしい。”

先生がいなきゃ、幸せになんてなれないのに。

「…え」

悶々と考え事をしていた私の意識が引き戻されたのは、周りの景色が明らかに記憶に残っていた最後のものと異なるからだった。

その空間の全体を占める白い雰囲気、距離を置いて道に沿って置かれている大きな門。
数ヶ月前の雨の日に訪れた場所だ。

…まさか、無意識のうちに先生の家の方まで来ちゃったの？

「私ヤバすぎでしょ…」

早く帰ろう。この制服を着ている人間がうろついていると言う事実だけでここら辺に住んでいる人からしたら、不審に思えるかもしれない。別に全然根拠はないけど…。

とにかくこの場所を去ることが最善なような気がした。来た道を引き返そうと足を進める。

「何かご用ですか？」

門の向こうから声をかけられたのは、その時だった。