最後の初恋 3 (ページ15)

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職員室まで走って行って、呼吸を整えてドアをノックする。クラスと名前を名乗るよりも先に、私の元に駆け寄ってきた人がいた。ロロ先生じゃないんだ。思ったのはそれだけだった。

「A！」
「わっ」
「早く、こっち」

グイッと手を引かれる。そのまま誰もいない廊下を駆けていく。掴んでくる手の力が強い。ドンヒョク先生も焦っているのかな。でも、なんでそこまで焦ってくれるんだろう。今を逃したらもう会えなくなる私と違って、先生はいつだってロロ先生と連絡を取れるはずなのに。

主に先生だけが使う裏の出入り口から外に出る。「そのままでいいから」上履きを履いた状態の私にそう声をかけた先生は、コンクリートの上を駆けていく。

冬の冷たい風が顔を撫でて、火照った頬が程よい温度に染まっていって、先を走るドンヒョク先生の香水の香りが身体にかかって。でも、その香りはこの前のとは違って、ちょうどいい。

職員専用の駐車場に入る。そこは、普段は生徒が立ち入ることを禁止されている場所だ。先生の数が多いからか、車の数を考慮して立体駐車場のようになっている。やっと足を止めた先生は数回深く肩を動かして呼吸を整えると、大きな声を出した。

「チョンロ！！！」

無機質な空間に音が広がっていく。少しの沈黙の後、もう一度その名前を呼んだ。

「チョンロ、まだ行ってないんだろ。連れてきたから」

ドンヒョク先生の白いワイシャツの背中を見ていると、ギュッと腕に力が入ったような気がした。

「なに」