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緑に染まったスカイツリーの目の前に立つ姿は、数年前、同じ場所を訪れた彼を思い出させた。暖かい風が揺らした黒髪によって視界が遮られたことで微かに細まった瞳。そこには私が映っていた。
ああ、そうだ。
何度、ここを見るたびにあなたの姿を思い出したことか。
仁川空港を名残惜しい気持ちで去った時から、いや、手を振るあなたにキャリーケース片手に背を向けた時から、
私は、ずっと、ずっと、
「会いたかった」
自分の震えた唇から紡がれた音を耳にした瞬間、自分が泣いているのだと理解した。電話やカトクじゃ意味がなかった。その綺麗な瞳に直接私が映る瞬間を、自分でも気が付かぬうちにずっと待っていたのだ。
「ナ、ナナ、」
この気持ちが、韓国に置いてきたはずの想いが、口からこぼれ落ちてしまいそう。
「ナナッ、」
どうしてわざわざここまで来てくれたの？会いたかったって、私に会うために来てくれたの？ずっと想いを寄せていた好きな子はどうなったの？
ねぇ、私は、期待してもいいの？
「A」
「泣かないで」目の前の彼が膝を曲げたことで同じ目線になる。涙がとめどなく溢れる私の瞳の下を細い指が触れた。ナナ、ともう一度彼の名前を呼ぶ。しかし、涙によって水分を含み過ぎたそれは、もうどんな言葉か分からないくらい曖昧な音だった。相変わらず綺麗な顔をしている彼は、うん、と目を細め私を安心させるように微笑んだ。
「ずっと言いたかった」
両手を体の前に持っていかれ、優しく包まれる。
「Aが日本に帰ってから、Aのこと、ずっと忘れられなかった」
ああ、ダメだよ。そんなに愛おしそうに見つめないで。
「いないはずなのにいつも隣見ちゃってさ。あまりにも苦しかったから、この気持ちを抑えようと思ったんだ。俺の中から消し去ろうと思った」
「でも、できなかった。そうしようとすればするほど、もっと苦しくなって」段々と彼の瞳が潤っていく。その中にいる私が水分で歪んでいく。
「好き。Aが、好き」
儚く微笑んだその姿は、今まで見たものの中で最も美しいものだった。「友達でもない、親友でもない。1人の女の子として、Aが好き」息を呑んでいる私に追い打ちをかけるように、彼はその言葉を続けた。
「俺の彼女になってくれる？」
答えはずっと前から決まっている。
両手が暖かい手に包まれるのを感じながら、私は笑顔で頷いた。
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ジュン(プロフ) - jen（読み垢です）さん» またコメントして下さり感激です…ありがとうございますTT 一区切りというところまでお話が進みますので、是非とも最後までお付き合い宜しくお願い致します！jenさんこそ日々の時間を割いて読んで下さり、本当にお疲れ様ですTT (2023年3月25日 5時) (
レス) @page31 id: 3eac17ee35 (このIDを非表示/違反報告)
jen（読み垢です）(プロフ) - 泣くほど待っていて、読んだら泣けてきました どうしよう…切なくて耐えられないです お話も一旦終わりに近づいているのかな…嫌だな…泣 ジュンさんお疲れ様です (2023年3月23日 21時) (レス) @page24 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - jen（読み垢です）さん» わーー！jenさん！早速お声かけて下さり嬉しいですTT 本にしてくださいだなんて初めて言われました笑 そんな事を思ってくださるなんて感激しておりますTT これからも読んで下さる方が楽しめるような展開になるよう頑張りますね:) 待っていて下さい！ (2023年2月10日 17時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
jen（読み垢です）(プロフ) - ドキドキワクワクしつつの…５泣！他のお話とも絡んでいるし…ジュンさんすごい…本にしてくださいな！で、あちらも各先生の恋愛やらプロポーズやら知りたいし…待ってます^_^ (2023年2月10日 11時) (レス) id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - なんと…ついに5まで来てしまいました…これからも宜しくお願い致します！感想やご意見、ご指摘等ありましたら気軽にお声掛け下さい！ (2023年2月5日 11時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジュン
| 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/baekotowhani/
作成日時：2023年2月5日 11時
