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「このモールの近くに、アニメのグッズが売ってる有名なお店があるんだ」わざとらしい明るい声。
ダメだ。着いていってしまったら、絶対に戻れない。
本能的に感じた。問題は、どうやってここを切り抜けるか。
「あー、母が厳しくて、もう帰らないといけないんです」
「門限みたいな？」
「はい」
「大丈夫、すぐそばだから」
そんなに時間かからないよ。耳元で呟かれたその声がねっとりとしていて、とても気持ち悪くて、喉から一気に何かが込み上げてくる感覚に陥る。
それに耐えていると、急に私の右手の手首を掴まれた。その瞬間にそこから広がるように体を襲ったのは、ゾワッとした、奇妙なもの。
やだ。気持ち悪い。
「やめ、やめて、下さい」
震える声で何とか発した声は、目の前の人に届いていたようだった。キョトンとしたその人は私の状況を理解すると、はあ、と肩を落とす。
「彼氏いるの？」
「いま、せん」
「じゃあいいじゃん。ちょっと外出て遊ぶだけだよ。そんなに怯えることないって」
この人の友達はいつ来るんだろう。もう30分以上経ってるのに。
…待って。
そもそもこの人は、本当に友達を待っているの？
その事実に気がついた途端、目の前の存在が得体の知れない生き物のように思えてきた。髪の色にそぐわない真っ黒な瞳には私が写っていて、体が小刻みに震え出す。
その時、小さなウサギはすでに狼の巣に誘い込まれていたのだ。ウサギが気が付かぬ間に。じわじわと、ゆっくりと。
さあ、と手を強く引かれる。心優しい人間の皮を被った狼が、貼り付けた仮面に浮かべた笑顔でウサギを誘い込む。
「…嫌です」
「やめてください！」大きな声で叫んだ私はその手を振り払うと、机の上に広げていたものと荷物を全て抱えて走り出した。
そのまま走って、走って、出口へと向かう。モールの外は私が予想していた通りすでに真っ暗だった。
怖かった。
逃げ出した時聞こえたのだ。小さな舌打ちが。
そのまま追いかけられるんじゃないかって、そしてすぐに捕まって、もう逃げられないようにされちゃうんじゃないかって、足を動かしながら頭に浮かぶのは最悪の光景で。
「こわ、かっ、た…」
体の前で両手で抱えたリュックに顔をうずめる。溢れる涙が頬を伝うのに身を任せていれば恐怖が落ち着いていくのを感じる。
そして、気がついてしまったのだ。
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ジュン(プロフ) - jen（読み垢です）さん» またコメントして下さり感激です…ありがとうございますTT 一区切りというところまでお話が進みますので、是非とも最後までお付き合い宜しくお願い致します！jenさんこそ日々の時間を割いて読んで下さり、本当にお疲れ様ですTT (2023年3月25日 5時) (
レス) @page31 id: 3eac17ee35 (このIDを非表示/違反報告)
jen（読み垢です）(プロフ) - 泣くほど待っていて、読んだら泣けてきました どうしよう…切なくて耐えられないです お話も一旦終わりに近づいているのかな…嫌だな…泣 ジュンさんお疲れ様です (2023年3月23日 21時) (レス) @page24 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - jen（読み垢です）さん» わーー！jenさん！早速お声かけて下さり嬉しいですTT 本にしてくださいだなんて初めて言われました笑 そんな事を思ってくださるなんて感激しておりますTT これからも読んで下さる方が楽しめるような展開になるよう頑張りますね:) 待っていて下さい！ (2023年2月10日 17時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
jen（読み垢です）(プロフ) - ドキドキワクワクしつつの…５泣！他のお話とも絡んでいるし…ジュンさんすごい…本にしてくださいな！で、あちらも各先生の恋愛やらプロポーズやら知りたいし…待ってます^_^ (2023年2月10日 11時) (レス) id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - なんと…ついに5まで来てしまいました…これからも宜しくお願い致します！感想やご意見、ご指摘等ありましたら気軽にお声掛け下さい！ (2023年2月5日 11時) (レス) id: 2f0aad5d81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジュン
| 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/baekotowhani/
作成日時：2023年2月5日 11時
