・ ページ3
「はい、吸って、息止めてー！！」
先生の言う通り、大きく吸って、息を止めるけど
この息を止めるのがまた辛くて。
いきむのやめてって言われても、もう身体が勝手に力を入れちゃうものだから。
無理！ってなりながら、でも必死にこらえて。
そんなことを何度か繰り返していると、
ヌルッと何かが出た感触に、思わず息を呑む。
「頭出ました！」
そう言われた瞬間、一気にふわっと体が軽くなった気がして。
「はい、もう出ますよ〜」
って、先生の声と共に、赤ちゃんの両肩が出たのがわかって、
なんだか、わけも分からず涙が溢れてきた。
それは隣のベクくんも一緒で。
ズルズルっ、と本当に音にしたらこんな感じで
私の中から出てきた赤ちゃんが、
足の間から顔を覗かせた時にはもう視界が滲んで何も見えなくて。
「おめでとうございます！！！」
の声とほぼ同時に聞こえた産声に、ベクくんと二人でただただ、泣いた。
「Aちゃん、みて、めっちゃかわいい・・・」
「う、なみだで、みえな・・・」
ぽんっ、とうつ伏せにお腹の上にやってきた赤ちゃんは。
暖かくて、柔らかくて、本当に私が産んだの？って。
「お父さん、へその緒切りますか？」
って看護師さんに声をかけられたベクくんは
もう鼻水と涙で声もグズグズだったけど。
はい、と返事をして。
ハサミの音がすると、看護師さんが
「赤ちゃん綺麗にしますからね」
って、わが子を抱き上げた。
「・・・ベクくん」
「Aちゃん、お疲れ様・・・ありがとう、本当にありがとう」
ぎゅ、と強く手を握りあって。
ありがとうは私のセリフだよ・・・って。
「おめでとうございます、すごく元気な男の子です」
そう言っておくるみに包まれたわが子が腕の中にやって来て。
温かくて、ほっとする。
小さな小さな彼を腕に抱いて、ベクくんが赤ちゃんの頬に触れて。
間違いなく、今日が
生きてきて1番幸せな日・・・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2684人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：micky!!
| 作成日時：2018年9月30日 0時
