恋愛対象外でも好きでいていいですか？ (ページ3)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:76,107 hit

3 ページ3

「ヌナはさ～」

恋愛対象外と気付くまでそれなりに努力はしてきた。
ベクが誰かを好きになる度に聞かされる話を意識して…服装や香水、髪型を少しずつ変えたりしてるって。

ほんのちょっとでもいいから
意識してもらえるといいなって、
思ってたんだけど何にも効果はないみたい。

悲しいけどこれが現実だ。
いくら努力したって、
元々眼中に無いんだから無駄だったんだ。

例えばカウンターに座るあの男の人みたいに
世の中には紳士的でかっこいい人が他にたくさんいるのに、どうして子供っぽくて馬鹿なベクのことが
こんなに好きなのだろうか。

…ムカつくなぁ、好きすぎて。

「Aにもいい人出来るといいな」

彼の笑顔は時に残酷。
相手ができないのはお前のせいだ！
責任持って幸せにしろ！っていうのは無理だから
恋は半分諦めてる。

「当分いいや」

「うわ～勿体ねっ」

「私のことなんてどうでもいいの」

じっと真剣な目つきで私を見ながら頬を軽く引っ張った。私に触れても何にも感じないんだろうな。

ただ友達に触れてるだけで、きっと胸の音は平常運転。それに反して私の方ばかり、ありえないスピードで加速していく

「黙ってりゃ、可愛いのにな…ﾊﾊｯ」

いつものノリだって知ってる。
だけど"可愛い"の部分だけが何度も頭の中に響いちゃう。

ベクは無意識でこういうことを言うから怖いんだ。
お先真っ暗な片想いのはずなのに、まるで光が差しているかのように錯覚させられてしまう。

小さな１つの嬉しい言葉や行動で
もっと先が大きくなっていく

「うるさい。出会いがないの、出会いが」

「それなら俺が紹介するよ！」

ほら、まただ。

やっぱり私のことなんて"恋愛対象外"