恋愛対象外でも好きでいていいですか？ (ページ16)

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[20時に駅集合]

そうメッセージが来たのはお昼休みの頃。
お店はセフン君が選んでくれる。
詳細は集まってからのお楽しみらしい。

少し、早めに仕事を終えて準備をしてきた。
人混みの中、彼を探しながら
もうしばらく誰も更新していないインスタグラムを
何度も引っ張る。暇だと無意識によくやる癖。

「あ…」

突然流れてきた、ベクの新しい投稿。
タイミング悪すぎだよ…
そこには綺麗な女性が大人の表情で微笑んでいた。

私がベクの好きな格好をしたってこの人には到底敵わないんだ。私とは全く違う彼女の姿に現実を突きつけられた気がした。
気にしてないフリをしても、胸の奥がつーんとするから我慢できない。

あぁ、嫌だ。今にも泣きそうだ。
傷つくとわかっているのに、
彼のSNSをブロックすることなんてできなかった。

つま先の辺りには雫がぽたりぽたりと
いくつかのシミを作った。

「ねえ、ヌナ…？大丈夫？」

「ッ…セフン君…」

タイミングよく集合場所にやってきた彼は私の顔を覗き込むと、悲しそうに眉毛を下げながら頭を撫でてくれた。これじゃあどっちが年上かわからないじゃない…

気を取り直して上を向くと、
優しい表情の彼が少し大人びて見える。

「今日も綺麗だから、すぐ分かった」

「うるさい」

褒められ慣れていない私は可愛い返しができないけれど、彼は変わらぬ表情のままでこちらを見つめてくる。

「お店はすぐそこにあるよ。お腹空いてる…？」

「うん、お店のメニュー制覇できるくらい空いてる！」

「ﾌﾌ、ほら行こう」

彼はそう言って私の腰に軽く手を添えながら進んでいく。会って2回目にしては近過ぎるような距離に、心臓がザワザワと音を立て始めた。

まだ慣れないこの香りが
いつか私の好きな香りへと変化することはあるのだろうか。