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ログアウトすると、大雨が降り注いでいた。
大雨のおかげで、吐き気はだいぶ無かった。
そして、丁度悠馬もログアウトして……ゆめマスクを持ったまま呆然としていた。
ザァァ……バシャバシャ……と音を立てて降る雨に、私も悠馬も、吸水性の低い制服が変色しきっている。
「悠馬」
声をかけても、悠馬は動かない。
「ゆうま」
雨に掻き消されてるのか、はたまた彼の心まで声が届いていないのか。
彼のゆめを最後まで見ずにログアウトしてしまったので、何が起きたのかわからない。
……しかし、悠馬を見る限りなんと無く結末は予想できてしまった。
「……」
「悠馬、濡れてます」
悠馬は力無くゆめマスクを放り投げた。
ガン、と音を立てて、ゆめマスクがベンチの下に入り込む。ボソ、と悠馬の声がきこえた。
「…………A先輩は、」
「うん」
「……どうしようもなくなった時、どげんしますか」
「…………安心できるとこに、帰りますかね」
自分がダメになった時、私は実家の近くの公園に行きたくなる。遊具がほとんどなくて狭いから過疎してるけど、どこかのお偉いさんが税金対策で維持してるのでずっとある。
小さい頃から仲の良かった子に悪口を言われたり、嫌な先生に怒られたり、両親と喧嘩したりした時には決まってそこに行っていた。
「……そげなことしたら、逃げたことになるかな」
「逃げるのは、悪い事じゃありません」
「……」
悠馬は、困った顔をしていた。大雨のせいで泣いてるのかもわからない。
私達は雨で体温が奪われる中、真っ暗な屋上でお互いしか認識できなかった。
凄く、心細い
「……帰ります」
「…………うん」
悠馬はゆめマスクをそのままにして、ドアまで歩き出した。そして去り際にこちらを見て立ち止まる。
「A先輩、最後まですみません」
ガチャ、とドアが音を立て、悠馬を呑み込んだ。
私は急に正気に戻り、
「「最後なんかじゃないですから！！！」」
と、多分、人生で一番大きい声を出した。
慌てて屋上のドアを開けるが、既に悠馬は早足で下の方まで降りて行った後であろう、誰の気配もしなかった。
土砂降りの中に戻り、悠馬のゆめマスクを拾い上げた。
電源が入らない。ひょっとして、水没しちゃったんだろうか
悠馬が鹿児島に帰ったら、私も夏休みには鹿児島に旅行にでも行こうかな、なんて、結構冷静なことを考えた。
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
