○ ページ32
「ゲッ！こっち来る気だよ！？すぐ逃げよう！」
何故そこまで幽に怯えるのか分からないが、新兎君は今にも泣きそうな顔をしながら缶ジュースを持って立ち上がった。
「志部谷先輩も、あの漫画読んでくれたんだな」
「確かに、幽も漫画なんて読むんですね。私と同じでケータイに疎いはずなのに」
「もー、二人ともそんなこと言ってる場合じゃ無いって！ほら走って！」
☆
思い切り走る二人を追いかけていたら、いつのまにか新兎君のみ逸れてしまった。
「新兎と逸れた、」
「そうですね…」
黒寮を歩きながら、さっき手に持ったままだったケイタイをなんとなく見ると、すでに18時近かった。
「でももう遅いし、ちょうど寮まで来たことだしそろそろ帰りましょうか」
「あ…でも、新兎の携帯持ってきてしまった」
普段からケイタイを見ている新兎君を思い浮かべる。
「ああ……返しに行きましょうか」
________________________________________________________
二人の歩く足音が響く。普通科の生徒は午前中にテストが終わりなので、既に帰ったり遊んだりしているんだろう。
「悠馬、凄かったですね、タラシの」
「あ、あいがとさげもす。A先輩も、手伝ってくれて、助かりました」
「私は本当に何もしてないからお礼言われると申し訳ないですよ」
へへ、と乾いた笑いをして、わざとらしく頭を掻いた。
「…A先輩がおるだけで、頑張れるから」
ふと、悠馬が立ち止まった。私も立ち止まり、振り返った。
「…良いところがないから柳先輩の足引っ張ってるのは仕方ないって、思っとったんです。こんなのハンデだって」
「…」
「でも、A先輩が自分のハンデで悩んで、どうにかしようと思ってるのを見て、頑張ろうって思った」
悠馬はまた歩き出した。
「すみません、新兎と一緒だと恥ずかしくて言えんかったから、立ち止まったりして」
「……いいえ、そんな」
……そうか、他所から見ると私は頑張ってるのか。
…ゆめ酔いは、確かに何とかしようと努力してきた。
けれど、あまりに成果も無くて、なんだかヤケになって躊躇せずにゆめシステムを使っていた。
雛次君ともそうだ 必死になって勝手に悩んで、解決方法をどうにか探してた。
実は頑張ってるのか、私は
そうか、
良かった。
……また救われてしまった。
「ありがとうございます、悠馬」
「え？」
「いえ、ほら、新兎君探しましょう」
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
