○ ページ26
「急に出て行くなんておかしい」
「ごめんってば三毛門ちゃん……」
あの後ちょうど渋谷に向かうバスがあったのでそれに乗り、午後には東雲の寮まで着いた。
バスに乗った意味は無くなったが、自己整理の為に失ったお金だと思う事にした。無駄遣いなんてしてない。断じて
すると、寮の庭の方で猫を撫でながら英単語の教材を読んでいる三毛門ちゃんと鉢合わせてしまい、ハグと言う名の拘束をされてから20分。今に至る。
「伊野尾先生がAが行方不明って」
「それは慌てすぎです」
「Aが連絡もなしにいなくなるから」
「ごめんなさい」
なんだか久しぶりに体感した三毛門ちゃんのふわふわウィッグ、実家のような安心感だ。
「A……テストどうするの？」
「……ぇ？あっ、受ける！受けたいから帰ってきたんだった」
そういえば、と目的を思い出してじたじたと手を動かすと拘束を解いてくれた三毛門ちゃん。
「なんで忘れてたのか分からない」と呆れた顔をしていたが気のせいか。
着いてく、と言ってもらったので二人でゆっくり歩いて校舎に向かった。
☆
「いやぁ、本当に、誘拐騒ぎになるところだったよ！」
あははっ！といい声で豪快に笑っているのは、ウチの理事長代理の猿渡先生だ。
「雛次君からは何も聞いてないんですか？」
「ん？佐旧君…そう、彼退院できたんだってね！テストを受けていたのを見て感動してしまったよ！なんだか暗い顔だったけど、まだ少し体調が悪いのかな」
デカい椅子に座り、長い脚を組みながらツラツラと笑顔で話す術は、まるでウチの現最高責任者とは思えないほど自由だ。
しかし、これでも実力者なので変わった人なんだなと周りは黙認している。
そして雛次君は退院していない、ということはどうやら知らないらしい。
「そう言えば彼は何も言っていなかったね」
ひとしきり自己解析を終えると急に椅子を引いて顔の前で指を組んだ。急に過ぎてちょっとビビった。
「…雛次君と喧嘩したんです、私…それで飛び出しちゃって」
「ほう、喧嘩！いいね、青春じゃないか」
理事長室の前で待っている三毛門ちゃんに聞かれるのが恥ずかしくて小声で言ったのに、私の声の6倍くらいで言葉を反芻してきた先生、一生怨む。
「…その、それで、本当に迷惑なことは承知なのですが、定期試験を、受けさせて欲しくて」
「え？いいよ」
いいらしい。
お、お……いいのか。
てっきり一悶着あると思っていたので拍子抜けしてしまった。
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
