○ ※ ページ22
「Aさん」
彼は少し驚いたような顔をして、私の手を握り返した。
……私は
どうしたいんだろうか
意味を込めずに彼に微笑んだ。
「Aさんは成績ならぶっちぎってるよね。僕も勉強だけならできるんだ」
「……私達が首席になるのに必要なのは、」
「期末ライブでのフォロワーの獲得」
「ですね」
大難問、と今日初めて声に出して笑ってしまった。
荷物を片付けた私は明日のテストの教科の教材を一応鞄に入れ、雛次君と一緒にソファに戻った。
「まず、僕らは知名度が他の生徒と比べて圧倒的に少ないよね」
「…たしかにそれもありますね」
「望月君よろしく、宝石発掘〜みたいな展開にどうにか持って行ったら面白いよね」
「あぁ」
・知名度
・ゆうまのような衝撃
と、軽くノートにメモを取った。
私達は明日テストを控えているが、そっちのけでこんな事をしていて良いのだろうか。
「……あと、スキャンダルなんでどうかな？」
「すきゃん…？」
「おや、存じないかな」
彼は不思議そうな顔をした…と思うと、急に顔を近づけてきた。
「……これ、誰かに見られたら勘違いされるかな」
「……でしょうね」
「これが噂にでもなったら、少しは知名度上がるかな？カップルのペアだなんて」
フフ、と小馬鹿にしたかのような笑い方をした彼。「これだよ」と言って体制を戻した。
「ひとまず東雲ネットワークに何か投稿しようか。僕は毎日短編小説でも載せようかと思うんだ」
彼はそう言ってケイタイを開いてぱぱっと素早く指を動かした。と思うと、すぐに見せてきた。
そこには800字程度の短いお話が。
……かなり、凝った話だ。
「…今の一瞬でこれを？」
「正確にはいくつか頭で考えていた話を一つ、書きながらまとめたんだ」
「………………凄い」
彼は照れ臭そうに微笑んだ。
「今時の高校生が小説を読んでくれるとは思わないから、短いものなら、ね。
これがだんだん広まって、『佐旧雛次』の名を馳せれる事を祈るよ」
「なるほど……」
私…は……
「Aさんは」
「どうしましょうか」
2人とも頭を抱えて、同時にため息をつき、顔を見合わせてなんとなくニヤリとした。
そして、ちょうど24時を回ったので翌日のテストに向けてもう寝ようか、と二人でおとなしく二階に上がった。
「おやすみ」
これが言い合える日が来るなんてな、となんだかメランコリーな気分がした。
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
