○ ページ2
「…っ、た」
貼って貰ったガーゼが包帯に抑えられ、激痛に顔を歪めた。
「痛いの？」
「…死ぬほど」
「まあ痛いって言っても知らないんだけど」
「…」
私が呻く度に楽しそうにクスクス笑うクソサディストを恨めしい気持ちで睨んだ。
しかし、手ほどきは完璧だ。流石仁さんの世話係を名乗るだけある。
「…千鶴、食事は良いのですか」
「は？良いわけないじゃん。折角仁さんと一緒に食べようとしてたのに」
「……すみません」
沈黙。
…気まずい。
というかそもそも千鶴と話した事があまり無いのだ。常に仁さん絡みの嫌味くらいしか言われてこなかった為、この前の乗っ取りライブの時はめちゃくちゃ驚いた。
「…A、手も血出てるけど」
急に声をかけられてビビりながらなんか痛いなと思っていた左の手の甲を見ると血が滲んでいた。
「え、あ、本当だ」
「…消毒液、しまっちゃったんだけど」
「…すみません」
何故か謝る私。もー、と溜息をついた千鶴。そして少し手を見つめて、急に手を自分の顔に近づけて、舐め始めた。
「は、」
「血邪魔なの」
確か本とかで傷舐めるのよくないみたいなのを見た気がするんですけど千鶴くん
「衛生的じゃ無いですよ、それに私外で転んで…」
「感染症にでもなったら治療費せびるから。お前がなった時は知らないけど。」
そしてまたちろちろと、ミルクを飲む猫みたいに傷口の血を吸う千鶴。
む、と口を話すと、綺麗な顔を歪めた。
「…土の味がする」
「……失礼ですね」
「ほら絆創膏貼るから」
☆
その後淡々と手当を終え、ゴミをまとめた千鶴。
一息ついてから私を見た。
「…あとはその汚い格好だよね。」
私は肘がほつれて砂で薄汚れた上着を見た。
この下に着てるのが三毛門ちゃんとお揃いのもの。これだけは汚したくなくて、上着を余計に着ていたのだが、見事にこれだけ無事だった。
それが嬉しくて微笑んでいたら、千鶴は「なに笑ってんの」と呆れ顔で言った。
「……その汚い格好で仁さんと同じ食事場に着けるのはおこがましすぎ。…下に着てるのと…あとはなにかズボンでも」
「……明日の分の着替えではいけませんかね」
「……一応スカートかなんか持って来させるように頼むから、すぐに明日の服着て来てよ。」
何度目かの溜息をついて、誰かにケイタイでその指示を出した。
連絡を終えてからまた私を見て、少しだけ微笑んだ。
「折角用意させた食事だから早くしてよね」
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クウ(プロフ) - 初めまして。続き楽しみです。 (2020年7月25日 17時) (
レス) id: e1d577414c (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - るーさん» 返信が遅れてすみません。ありがとうございます！短編集の件ですが、なかなか更新できていなくて、もう何話か書いてから公開しようと思っております。それまでお待ちいただけると嬉しいです！！ (2019年9月3日 7時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
るー - 夢主ちゃんがすごくタイプで好きな感じです。ストーリーも面白いです！これからも応援してます！もしよければ短編集の方のパスワードを教えてもらってもいいですか？ (2019年7月30日 23時) (レス) id: e7803b918a (このIDを非表示/違反報告)
ハト(プロフ) - レス返せてなくてすみません！どの激励のお言葉も嬉しく読ませていただいています！！二期始まる前に完結させれるように頑張ります……！！ (2019年7月26日 16時) (レス) id: 28b0102360 (このIDを非表示/違反報告)
hermes753(プロフ) - 初めまして!めっちゃくちゃ面白くて一気読みしちゃいました。更新待ってます!!! (2019年6月18日 0時) (レス) id: 8867b9a324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハト | 作成日時：2018年11月29日 11時
