風中の消えない炎 ビボム ページ11
「へぇ、君ってあんな風に笑うんだ」
私を練習室の壁に追い詰めたミニョクさんは、どこか冷ややかな怒りを纏っている…気がする。顔の横の手、目の前のミニョクさんからは石鹸の香りがする。
「あ、あの…」
「僕の前では、滅多に笑わないのに」
私のうつむきかけた顔を、顎に手をかけて持ち上げる。
さっきまでユグォンさんと、ダンスの練習をしていたのだ。一人で居残り練習していたところを、ユグォンさんが一緒にしよう、と声をかけてくれた。
練習室には二人しかいなかったけど、シャワールームから帰ってきたミニョクさんが、荷物を取りに来ていたらしい。
それが、丁度、私が足を引っ掛けてしまい、ユグォンさんが私を抱きとめてくれた時で。初めての距離に照れ笑いしていた二人を見てだろう。なんだか、怒っている。
「ミニョクさん…」
「僕にも、笑ってよ」
「え?」
「君は、僕が近づいても、怯えたようにしか笑わない」
ミニョクさんの瞳が揺れて、徐々に顔が近づく。彼の胸に手を当てて押しても、その手を絡めとられるだけ。
「Aー」
遠くからユグォンさんの声が聞こえて、彼がパッと離れた。
タオルを首に巻いたユグォンさんは、にこりと笑って練習室の扉を開けた。
「あれ、まだいたんだ」
「あぁ、まあな」
「Aも早くシャワー浴びろよ」
「あ…はいっ」
じゃあお疲れ、と部屋を出ていくユグォンさん。彼の背を見つめていると、自分の帰宅用意をしたミニョクさんが私の頭に手を置いた。
「お疲れ」
「は、はい、お疲れ様です」
頭を深く下げて、しばらく経って頭を上げると、彼はもういなかった。
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日向(プロフ) - 地球外生命体かと疑うレベルに可愛いテイルは、癒しですね。なんと、私めの作品も閲覧して頂けるなんて…。これ程嬉しい事はありません。BTSのお話のみですが、覗いて頂けると幸いです>_<、 レスありがとうございました。次話も楽しみにしています。 (2016年12月2日 0時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
ジヨン(プロフ) - 日向さん» 神作だなんてとっても勿体無いお言葉です ( i i )まばらな更新で申し訳ないのですが、応援していただきありがとうございます!テイルくんかわいくてかっこいいし罪な男です…感想嬉しいです、ありがとうございます。(日向さんのお話も拝見させていただきますね…!) (2016年12月1日 19時) (レス) id: 32c1f5cb48 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 私も作品を作らせて頂いている身ですが、この様な引き込まれるお話は到底作れません…。長々と失礼致しました。これからも頑張って下さい:^) (2016年11月30日 17時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - あまり見かけないブロビの作品の中で、よもやこの様な神作があるとは…。率直に言ってしまうと、好きです。語彙力の無い感想になってしまいますが、本当に好きです。特に作者様の作るテイルのお話、もう大好きです。 (2016年11月30日 17時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
ジヨン(プロフ) - らんさん» はじめまして!ありがとうございます〜!約1ヶ月放置してしまい申し訳ないです。これからも地道に頑張ります。 (2016年8月29日 16時) (レス) id: 57adad48cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジヨン | 作成日時:2016年3月29日 22時