検索窓
今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:18,941 hit

風中の消えない炎 ビボム ページ11

「へぇ、君ってあんな風に笑うんだ」

私を練習室の壁に追い詰めたミニョクさんは、どこか冷ややかな怒りを纏っている…気がする。顔の横の手、目の前のミニョクさんからは石鹸の香りがする。

「あ、あの…」
「僕の前では、滅多に笑わないのに」

私のうつむきかけた顔を、顎に手をかけて持ち上げる。

さっきまでユグォンさんと、ダンスの練習をしていたのだ。一人で居残り練習していたところを、ユグォンさんが一緒にしよう、と声をかけてくれた。

練習室には二人しかいなかったけど、シャワールームから帰ってきたミニョクさんが、荷物を取りに来ていたらしい。

それが、丁度、私が足を引っ掛けてしまい、ユグォンさんが私を抱きとめてくれた時で。初めての距離に照れ笑いしていた二人を見てだろう。なんだか、怒っている。

「ミニョクさん…」
「僕にも、笑ってよ」
「え?」
「君は、僕が近づいても、怯えたようにしか笑わない」

ミニョクさんの瞳が揺れて、徐々に顔が近づく。彼の胸に手を当てて押しても、その手を絡めとられるだけ。

「Aー」

遠くからユグォンさんの声が聞こえて、彼がパッと離れた。

タオルを首に巻いたユグォンさんは、にこりと笑って練習室の扉を開けた。

「あれ、まだいたんだ」
「あぁ、まあな」
「Aも早くシャワー浴びろよ」
「あ…はいっ」

じゃあお疲れ、と部屋を出ていくユグォンさん。彼の背を見つめていると、自分の帰宅用意をしたミニョクさんが私の頭に手を置いた。

「お疲れ」
「は、はい、お疲れ様です」

頭を深く下げて、しばらく経って頭を上げると、彼はもういなかった。

devil ピオ→←dreaming ピオ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
54人がお気に入り
設定タグ:blockb
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

日向(プロフ) - 地球外生命体かと疑うレベルに可愛いテイルは、癒しですね。なんと、私めの作品も閲覧して頂けるなんて…。これ程嬉しい事はありません。BTSのお話のみですが、覗いて頂けると幸いです>_<、 レスありがとうございました。次話も楽しみにしています。 (2016年12月2日 0時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
ジヨン(プロフ) - 日向さん» 神作だなんてとっても勿体無いお言葉です ( i i )まばらな更新で申し訳ないのですが、応援していただきありがとうございます!テイルくんかわいくてかっこいいし罪な男です…感想嬉しいです、ありがとうございます。(日向さんのお話も拝見させていただきますね…!) (2016年12月1日 19時) (レス) id: 32c1f5cb48 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 私も作品を作らせて頂いている身ですが、この様な引き込まれるお話は到底作れません…。長々と失礼致しました。これからも頑張って下さい:^) (2016年11月30日 17時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - あまり見かけないブロビの作品の中で、よもやこの様な神作があるとは…。率直に言ってしまうと、好きです。語彙力の無い感想になってしまいますが、本当に好きです。特に作者様の作るテイルのお話、もう大好きです。 (2016年11月30日 17時) (レス) id: 50a7649c25 (このIDを非表示/違反報告)
ジヨン(プロフ) - らんさん» はじめまして!ありがとうございます〜!約1ヶ月放置してしまい申し訳ないです。これからも地道に頑張ります。 (2016年8月29日 16時) (レス) id: 57adad48cb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ジヨン | 作成日時:2016年3月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。