向日葵みたいな君8

316.後悔 ページ30

「そう！アレ！ホンッッッッマに！
　ここ数年で一番答えにくい質問やで！

　濁したら『ちゃんと言え』言われたし」

「なんて答えたんw」

「せやなって言うしかないやろ！
　俺かてイマイチ分からへんのに！」

「頑張ったやんw」

「しかも…秘密だから安心してねって」






フォローも悲しくなる程に完璧






「Aに向けてた気持ちとは違うのに
　それを言うのはなんかちゃうやん

　違うけど違わへん
　いや、ちゃうねんけど



　ニコニコ笑う姿見とったら
　何も言われへんくなんねん

　…難しいわ」

「……わかるで」






2人で居た過去から今まで
全部触れて






『沙耶ちゃんの事好き？』

『よかった』





一瞬見せた寂しさも隠して
照史の背中を笑顔で押した






………いや

押しきれなくて
縋りついたのか


流星の言う通り
照史は気付いてないっぽい






「まぁそれ含めさ
　色々2人で話してて、俺はひたすら自分の
　しょうもなさに呆れていくのに
　Aはどこまでも褒めるから……

　ろくな返しも出来ひんかった」

「……」

「別れの言葉みたいなん言うし
　最後、最後って何度も言うから」

「怒鳴ったやろ」

「……最後なんて思いたないねん」

「それは俺も流星も同じや」





うなだれるように
テーブルに突っ伏すと

ふぅとため息をついた





「俺は何も知らんかった

　月末は忙しいって事も
　ピアノが弾ける事も
　英語が話せる事も」


「…なんの話や」


「好きな音楽も
　好きな映画も
　好きな食べ物も

　なんなら誕生日すら最初は知らんかった」


「アイツ、何も言わんからな
　言わなアカン事も何も」


「俺の『好き』ばっかり優先するから
　Aの『好き』に寄り添っていこうって
　思ったばすやのに…

　結局、何も寄り添えて無かった」





体を起こしてスマホを操作

アイスを食べてる写真を見せてきた





「このいちごのアイスが好きな事も
　ネズミの国が好きな事も
　犬がめっちゃ苦手な事も知らんかった

　流星は全部知っとるのにな」


「…」


「俺……何してたんやろな
　1年半も、Aの隣で

　話せば話すほど後悔が溢れてくる」





薄く微笑む表情には
言葉の通り『後悔』が滲む

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