305.背中 ページ19
慌てて振り返ると
ワンテンポ遅れた照史と一瞬目が合う
その背中から「照史」と小さな声がして
ほんの一瞬
照史の背中に縋り付くと
足元から崩れ落ちるように
鈍い音を立てて床に倒れた
「姉ちゃん！」
慌てて駆け寄って上半身を抱き起こす
不自然に伸びた左手の先には
チューブが限界まで伸びて倒れた点滴台
さっきの音はコレか
「A？A！」
隣にしゃがみこんだ照史に
「…………歩くの……失敗しちゃった…へへ」
と消えそうな声で言うと
俺に視線を向け
「ベッドまで…運んで…？ｹﾎｹﾎ」
と言った
ベッドに寝かせて
首元まで布団を掛ける
幸い点滴は抜けてなかった
橙「何してんねん！」
あ「ちょっと…言い忘れたから」
橙「何を！？」
あ「えと……あれ……？
忘れちゃった…んふふ…ごめん」
橙「笑い事ちゃうやろ！
呼んだらええやん！
倒れる程しんどいんか？！」
あ「チューブの長さ…忘れてて…
引っ張られて…転んだだけ
倒れてないよ、大丈夫」
橙「無茶せんといて？！頼むから！」
ベッドに縋りついて話す照史に
姉ちゃんは笑って答えている
照史には見えてなかったけど
俺は見ていた
点滴に引っ張られたんちゃう
確実に足元から崩れ落ちた
「照史」と呼んだ声は
明らかに引き止める言い方で
今にも泣きそうな表情をしていた
あ「ねぇ照史」
橙「うん？」
あ「今から行くお店に…
もし私の事を知ってる人が居ても…
秘密にしてね？全部」
オブラートに包んでるけど
きっと沙耶さんの声が聞こえたんやろな
そんで
寂しくなって
照史を思わず引き止めた
橙「……なんでなん」
あ「心配掛けたくないから」
橙「……でも「照史」
食い下がる照史を呼び止める
青「姉ちゃんが言ってほしくないんやから
黙っとけや」
強めに言うと
ぐっと口を噤む
あ「私は大丈夫だから…楽しんできて？」
橙「………ホンマに？」
あ「ん、本当だよ
またいつか…私も…連れてってね？
そのお店
美味しいの…発掘しといて」
ニコニコと笑う
姉ちゃんからの優しい言葉に
不服そうな顔をしながらも
照史は「分かった」と言って立ち上がる
青「飯食うたら、はよねぇや」
あ「はあい」
橙「ホンマに、ホンマに早くねぇや？
無理したらアカンで」
あ「分かったってば…照史しつこい笑」
そんな姉ちゃんの言葉にみんなで笑った
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向日葵(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます！気がついたら残りが少なくて焦ってます汗あと10話程度に詰め込むか…続編にしてダラダラ書くか…縮めるような文才が無いのは致命的です笑のんびりお待ち下さいませ😊 (5月26日 9時) (
レス) @page37 id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お忙しい中更新ありがとうございます。本当に嬉しいです。今後の展開を想像するとギュッと胸が苦しくなりますが、最後まで皆の想いを見届けます！私も一気に読みたい気持ちと少しずつ読みたい気持ちがグルグル(笑)いい子にして更新をお待ちしててますね (5月26日 7時) (レス) @page37 id: 146cf31383 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 凛さん» いつも優しいコメントありがとうございます(´；ω；｀)書きたかったシーンの１つでした。パスはスグに開放すると思うので、前作の２人がいちゃいちゃしてた辺りを読み返してください😊※私も読み返してます (5月9日 12時) (レス) id: 06dabafe54 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 今日も今日とて切な苦しいですね｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ。素敵なお話共有してもらえて本当に有難い限りです。いつもありがとうございます。パス解除早くても早くなくても前作読み返したりしながらお待ちしていますね (5月9日 3時) (レス) @page13 id: 4ef99da948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2023年5月6日 19時
