向日葵みたいな君8

297.秘密の言葉 ページ11

「照史と一緒に居た時間は…
　ずっと幸せだった

　ずーーーーっと幸せで溢れてた

　その時間があったから
　ここまで生きてこれた

　しんどい時は
　照史と過ごした時間を思い出してたよ
　楽しかったなぁって」





雨の降る窓の外に目を向けて
幸せそうに言葉を続けている





「いくら思い出しても尽きないの


　どんどん幸せだった事が浮かんで
　一瞬で頭がいっぱいになる


　キャパも少ないから
　ホント一瞬なんだよ？ふふふ


　思い出せる幸せな記憶がある私は
　今でも照史から貰った幸せに
　包まれてるんだなって

　
　離れてからもずっとずっーーーーと
　幸せ貰ってるんだなって」






少し声に湿り気が混じったかと思うと
スルリと服を降ろして振り返る


潤んだ瞳で俺を見上げ
(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)みたいな笑顔になって






「ねぇ、ご褒美のちゅーして？
　ホッペでもおでこでも
　どこでもいいから
　よく頑張りましたって！」






あの頃と変わらない笑顔に

深く優しい彼女からの言葉に

涙の止まらない俺を想って必死に笑う姿に

どう返すのが正解なんや





ずっと幸せやったなんて
そんなん絶対嘘






酷い事言ったやん、俺

酷い写真も撮られたし
それで沢山傷付けた

寂しい思い山ほどさせたし

怒鳴って怖がらせて泣かせたやん

怯えた目で俺を見上げる表情
何度もさせてもた






そんな事無かったかのように

幸せだったと

今でも幸せに包まれてるという彼女






なんて儚くて愛しいんだろう







「よぉ頑張った
　ホンマに…よぉ頑張ったな」






そう言いながら髪にキスを落とし

額と額をくっつける







「俺の元気も寿命も
　なんでも…ｯ…
　いくらでも…わけたるから…

　早く……元気になれ

　一緒にお出かけしよな」







久しぶりに言った
俺達の秘密の言葉







「覚えててくれた…の？」






驚いた顔をして
彼女の頬に涙が流れた






本来、めっちゃ泣き虫な彼女






今日は、ずっと笑っていた

何度も涙を目に溜めながら
必死に笑っていた彼女が






再会して
初めて見せた涙






指先でそっと拭き取ると
一気に泣き顔に変わって

俺に飛びついて
わぁわぁと泣き始めた







ずっと俺達の間を隔てていた
見えない壁がようやく無くなった感覚






やっと俺に寄りかかってくれた

ギュッと抱きしめると
更に大きくなる泣き声に



愛しくて

嬉しくて

苦しくて



俺も涙が止まらない

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